VW(フォルクスワーゲン)トゥーランの故障は防げるか?というテーマでお伝えしていきます。トゥーランに興味のある方は以下の記事も参考に参考になります。
当記事では、
初代トゥーラン前期型(2004年~2007年)
出典:VOLKSWAGEN Touran/autoevolution
トゥーラン中期型(2007年~2009年)
出典:Volkswagen Touran (2007)/netcarshow
トゥーラン後期型(2010年~2015年)
出典:VW Touran facelift (2010) first official pictures/carmagazine
二代目トゥーラン(2016年~)
出典:VOLKSWAGEN Touran/autoevolution
上記モデル全てに共通する内容として参考になります。初代トゥーランは2004年~2015年まで発売されました。ざっくばらんに言うと前期モデル、中期モデル、後期モデルと移り変わり、そして2016年にようやく二代目へとフルモデルチェンジしたばかりです。
モデルチェンジまでにここまで時間がかかるのはドイツ車ならではで、フルモデルチェンジまでに7~8年要することも珍しくないことが特徴です。
日本車に慣れ親しんだ我々日本人からすれば「早くモデルチェンジしろ」「もっと斬新なデザインを」という不満を抱きそうですが、ドイツメーカーでは「新しいデザインもいいけど、古いクルマもイケてるよね」という価値観があります。
初代トゥーランの前期モデルを見れば分かりますが、よくも悪くもシンプルに見えると思います。それは「アクの強いデザインほど飽きが来るのも早い」ということを見越してなるべく自然体になるようなデザインに仕上げたいという狙いがあるからです。
なので意図しなくても国産ミニバンと比較して、「知的で庶民染みた感じのない」印象のミニバンとなっています。それに欧州ではミニバンは流行せず、車内で寝泊まりする文化そのものがないので、国産ミニバンのようにおそらく一生使わないであろう変幻自在のシートアレンジなどは期待できません。
クルマは寝床じゃない、あくまで移動するものだ、ということです。そのような背景から単純に国産ミニバンとの優劣の比較は難しいと思います。国産ミニバンを選ばず、あえてドイツ車であるトゥーランを選ぶ理由として、
- 大雪国ドイツで育まれたジャーマンセッティングによる比類なき走行安定性
- 家族の命を五体満足で生還させるポテンシャルを持つボディ剛性
- 国産ミニバンのデザインが嫌いで、もっと知的な印象のクルマに乗りたい
- 大トルクによるストップ&ゴーのパワーの余裕からくる燃費の良さ
などが挙げられますね。クルマとは人の命に関わる買い物ですし、事故を起こしてしまったら全てがゼロになってしまいます。なので個人的には1にも2にも安全性を最優先として選ぶことをお勧めしたいですが、最近は自動ブレーキを搭載した車も流行してきています。
ですが個人的には「自分の運転がどんなにうまくてぶつからない車でも、横っ腹からいつ2トントラックが突っ込んでくるか分からない」という視点で見ています。超高齢化社会へと向かっていく日本では、ぶつからない車より「ぶつかられても安全な車」をお勧めします。
それに自動ブレーキはまだまだ実績のない過渡期の技術で、発動条件も限られている中で家族の命を預けるのはリスキーだと見ています。しかし一方でトゥーランは初代モデルでも世界一厳しいことでも知られるユーロNCAPでも最高の5つ星を獲得するほど高い次元の安全性を誇っています。
安全基準が厳しい欧州ではこれくらい安全性にお墨付きがないと「危なくて乗れない」と思われて誰も買ってくれませんから、高い次元で安全だと思います。そんな高い安全意識を持った国から来たトゥーランですが、購入後の故障が気になる人も多いですね。確かにドイツ車は故障するという噂を聞くことはあります。
それに私たち日本人の中には漠然と「日本車は安全」「ガイシャは故障する」という意識が刷り込まれています。ですが私は思います。トゥーランを始めとしたドイツ車はいうほど故障が多くて乗れたものではないのか?ということを。
私はつい2年前まで、13年落ち中古車のオペルというドイツメーカーのクルマに乗っていました。トータルで2年と4万キロは乗ったと思いますが、その間あったのはバッテリー上がりだけでした。
そのあとに乗ったアルファロメオ・147というイタリア車でも特にこれといった故障はありませんでした。私の乗った欧州車たちが特に大きな故障もなくこれたのは果たして偶然なのでしょうか?
トゥーランは「当たりはずれ」によって故障するのか?
よくガイシャは故障に関して当たり外れが多いということを聞きますよね。確かに輸入車を購入した人の中では立て続けにトラブルに見舞われてしまい、ひどい目にあったという話も聞きます。
ですが一方で「10年乗ってるけどノートラブル」という人もいたりして、いったいどちらの言うことを信じて進めばいいのか分からなくなりますよね。確かなことは、輸入車を購入してトラブルに見舞われる人とほとんど故障しらずという人にはそれぞれあるの共通点があるという事です。
輸入車を故障させてしまう人は最低限のクルマの点検やメンテナンスをおろそかにしている人が多いです。ボンネットを開ければ真っ黒で自分の車の正常な状態を把握しておらず、何か起きれば物言わぬ機械のせいにしてしまう人たちです。
そういった人たちは気持ちが内側に向いており、いつまでも車の基礎知識がつきません。なので国産車でも壊します。中古車を選ぶときでもとにかく車の安さ優先で、内装やボディなど見える部分ばかりを気にしますので、見た目が綺麗ならそれでオッケーしてしまいます。
一方で輸入車を購入しても調子良いコンディションを保っていられる人は基本に忠実です。それに当記事をお読みいただいてる方々のように事前によく調べたうえで車を購入しようとします。
例え新車でトゥーランを購入した後も「製造ムラによる初期トラブル」はどんな国のどんな車でも起こりうる、ということを事前に予測しているので何かトラブルに見舞われても冷静でいることができます。むしろ初期トラブルが保証期間中に出てくれれば「この後は安泰」という風に見ることができます。
現に私がこれまで乗ってきた欧州車はどれも走行3万キロ程度の個体でした。前オーナーが製造ムラによる初期トラブルを経験したかは分かりませんが、少なくとも3万キロも走行した個体であれば何かあったとしても前オーナーがほぼ直してくれているという風に見ることができます。
中古であっても考えようによっては美味しいメリットもあります。また、点検はいつもディーラーで診てもらっているから人任せ、ではなくて「自分のクルマなんだから自分の車の今のオイル量くらい把握しておこう」といってとりあえずボンネットを開ける。輸入中古車を選ぶ時でも、
- 走行距離は何キロなのか?
- 走行距離ごとに必要なメンテナンスは何があるのか?
- 今の自分に維持できるレベルのクラスの輸入車なのか?
- 保障はついているのか?
- 保障の範囲はどこまでなのか?
- 事故歴はあるのか?
- お店に専門性はあるのか?
- 定期点検記録簿はきちんと付いているのか?
- 自分が買うとしたら何オーナー目になるのか?
- ボンネットは開けて見せてもらえるのか?
- 試乗はさせてもらえるのか?
- 実車で調子悪そうな部分はないか?
- 故障していれば直して納車してもらえるのか?
- 自社整備工場はあるのか?
などなど、挙げればきりがないくらい慎重に確認しながら選びます。もし上記のポイントを無視すればおのずとハズレのトゥーランを引くことになるのは目に見えていますよね。ということは、購入前から「購入すべき個体」「購入しない方がいい個体」というものがある程度見えてくると思います。
トゥーランは車検を通していれば故障しないのか?
あなたが今乗っているクルマはいつメンテナンスをしていますか?点検の時でしょうか?それとも車検のときでしょうか?いずれにしてもクルマのメンテナンスというメンテナンスは意識したことがないという人が多いのではないでしょうか。
それは車検の時に一気にやってもらっているからとか、車検や点検の時にどんな整備をやってもらっているのか説明すら販売店からされていないということからも来ていると思います。
ですがトゥーランは車検のない国から来た車です。日本車のように車検ありきのメンテナンスで見るというのはそもそも間違いで、車検のない国の車は安全性の面から「走行距離ごと」のメンテナンスを意識しなくてはいけません。つまりトゥーランは車検の時期とは関係なく、走行距離から必要なメンテナンスを見る必要があります。
フォルクスワーゲンなどの欧州車で、車検や点検の時期でもないのに工場に入れる羽目になったりすることがあるのは「走行距離」が大きく関係しているからです。車検がないからといってそのままで甘やかしていると整備不良車が町に溢れることになり、大変危険です。
なのでそうならないように時期が来たら強めの警告灯で「早く工場に入れろ」と車がドライバーに警告するようになっているのです。それが日本に来ると変なランプがついた!!と大騒ぎになって「故障だ!!」となってしまうということなのです。
あなたは走行距離ごとのメンテナンスと言えばどんな内容を思い出すでしょうか。日本車であれば「1万キロごとのオイル交換」とか、「4万キロでタイヤ交換」などが思い浮かぶと思います。ですがトゥーランのような欧州車では消耗品とするパーツの割合が多いことが特徴です。
本来はクルマの消耗品としては日本車も欧州車も関係ないのですが、どうせ日本車は2年に1回車検で工場に入れるから、とかで基準が甘々です。
日本車の安全基準はしっかりとしたイメージがあるかもしれませんが、昨今の日産のずさんな安全に対する管理の甘さからも伺える通り、基本的な部分がおろそかにされている風潮があります。
一方トゥーランのような欧州車では走行5万キロも走ればタイミングベルトキット、ウォーターポンプ、サーモスタットというパーツの交換時期になりますし、ミッション関係では前期型トゥーランではゴルフ5がベースとなっているので5万キロ毎のATF+ATFフィルター交換が大前提となります。
※より具体的な消耗品パーツの種類については当サイトの他のフォルクスワーゲン記事を参考にして下さい。
ゴルフ5はドイツ車ではありますがトランスミッションはなんと日本のアイシン製です。日本製であればずぼらに扱っても安心かと言われればそうではなく、このミッションはATF交換を怠ったことによってバルブボディという箇所の故障が報告されています。
なので前期型トゥーランを狙う場合は走行3万キロまでの個体を上限として、購入と同時にATF+ATFフィルター交換をしてしまうことを強くお勧めします。加えて万が一バルブボディが故障してしまった場合でも現在では専門で修理を安く受けてくれるショップさんが出てきていますので、事前に抑えておくと精神衛生上いいですね。
中期型トゥーラン以降のオートマは従来の形式のオートマではなく、構造がマニュアル車ベースのDSGというデュアルクラッチに移り変わっていますのでメンテナンス方法が異なり、注意が必要です。
トゥーラン中期型の6速DSGは湿式と言われるタイプで故障は少ないのですが、普通のオートマ車のようにATFが使用されているので定期的な入れ替えはしておいた方がいいということを覚えておいた方がいいですね。後期型トゥーランからは7速DSGとなり、全世界的にリコール問題が取り上げられました。
こちらは同世代のフォルクスワーゲン車でも故障の悪評が目立っている問題のトランスミッションです。もし選ぶのであれば「すでにミッションが対策されている個体」もしくは「販売店もしくはメーカー保証が付帯している個体」を選ぶことを強くお勧めします。
DSG故障に関しては、現在ではほぼ改善されたとの見方も多いですが、安全とも言い切れる保証がないため以下の記事をご参考にしてください。
ここまでお読みいただき、フォルクスワーゲン車のような欧州車では走行距離ごとのメンテナンスがいかに重要かが何となくでもイメージしてもらえたかと思います。
そして消耗品交換は国産車と比較すると大変ですが、国産車でも車検で似たようなパーツを一気に交換しているため、5年目以降の車検では高額な出費に苦しんだという経験をお持ちの方は少なくないはずです。
欧州車の場合は消耗品交換がシビアな代わりに、新車のあの頃の性能がいつまでも保てるという大きなメリットがあります。本国では車を買い替えるスピードが遅いですが、新車の性能が保てるのであればしょっちゅう買い替える気も起きなくなりますよね。湧いてくる愛着も半端ないですから、長く乗るつもりがない人には不向きかもしれません。
それでも初の輸入車は不安…国産車を選び「安心」を買うべきか?
私はこれまで国産の新車を一台と、アルファロメオやオペルなど10年落ち以上の古い中古輸入車を乗ってきました。特に輸入中古車は価格のわりに狙える範囲が広く、まさかの値段でまさかの車が買えてしまうことが少なくないです。
私が輸入中古車を買う時は「購入と同時に交換が必要な消耗パーツは何か?」ということを常に頭にいれて選んでいます。その予算を車両本体価格とは別で予測していますので、購入後の想定外の出費という面ではあまり苦労したことがありません。
それでも故障が心配で迷うことはあると思いますが、その時は「どの車にのれば自分が一番幸せになれるか?」ということをまず考えることです。妥協して乗りたくもないクルマに乗ってしまえば、街中でトゥーランを見かけるたびに後悔の念が襲うと思います。
本当に好きな車に乗ると、後で何が起こっても「好きだから」で乗り越えられてしまうものです。そして周りの家族や友人もそんなあなたを見て応援してあげたくなるものです。
本当に好きで愛された車はいつしか家族同然となっていくものです。クルマ選びはいろんなしがらみがあると思いますが、あなた自信の基準を大切にして選ぶことによって、結果的に良い選択となる可能性は高いと思います。良いフォルクスワーゲンライフを送れることを祈っています。