出典:nuevo Volkswagen Up GTI 2017 ahora con 115cv/taringa
フォルクスワーゲンのUP!は故障せずに乗り続けることができるのか?というテーマでお伝えしていきます。UP!に興味のある方は以下の記事も参考になります。
フォルクスワーゲンは日本でも本当に普及が進んできている輸入車の代表格ともいうべき存在となってきました。今では街中でワーゲン(フォルクスワーゲンの略)を見かけない日はなくなったというくらいです。そのような流れで、UP!は2012年に日本に導入され、価格の手ごろさやおしゃれ感から「軽自動車キラー」とも呼ばれて人気を博しています。
UP!は2017年にはモデルチェンジをして、印象としてはより精鋭に、スッキリと今風にアップデートしてきましたね。実家のご近所さんでは、発売当初から乗り続けてなんと2017年のアップデートと同時に新型に乗り換えていました。恐るべしUP!への愛ですね。
その可愛らしくオシャレなデザインとは裏腹に、ドイツ車ならではの基本骨格の造りの良さや安定感を感じられるモデルです。実際、超雪国ドイツのアイスバーンを乗り切るためにセッティングされているので、どんなに小さいクルマでも高い次元の剛性を誇ります。
そのような点でも安全意識の高いユーザーから信頼を受けているのだと思います。それに加えてASGという、ATだけど走りを意識したミッション形式によって車の運転に楽しさを求めるユーザーからも人気ですね。
ASGは一時期リコールがあり、トラブルが相次いだということで継続して乗るには不安を感じるユーザーがいます。しかし現在ではアップデートプログラムへの書き換えによって、ほぼすべての車で異常はなくなったということです。
VW(フォルクスワーゲン)のUP!は故障するのか?
UP!を乗り続けるにはこれといった不安材料もなくなったはずですが、それでも未だに「外車だから故障する」とか「日本車の方が安心」といった声が聞かれますね。せっかくUP!に興味があるのに、周囲からそんなことを言われたら乗ってみたいという気持が引っ込んでしまいます。
「やっぱり故障が怖いから、大人しく国産車にしておこう…」
「自分は一生国産車で我慢するしかない…」
「外車に乗れるのは金持ちだけだ…」
そうやって多くの人が輸入車に乗ることを諦めていくのが現状です。2017年を迎えてもなお、そういった脅しをする人がいます。確かに外車に乗るとはお金がかかるイメージがあるかもしれません。
しかしこの日本においては、外車に乗ることがお金がかかるというより、クルマそのものの維持が貧乏人には厳しい、という見方が現実的です。実際、国産車なら維持費は安いか?と言われてどれほど納得する人がいるでしょうか。
不満を抱きながらも払い続けなくてはいけない自動車税、5年目、7年目で急に高くなる車検代、理不尽な旧車税、駐車場代、保険。。。そして何より思い出していただきたいのが車の「パーツ代」です。
日本は世界で見ても車のパーツ代がぼったくりレベルです。これは輸入車のみならず国産車でも同様です。よく思い返してみれば、なぜあなたの車のパーツはメーカーからしか買えないのでしょうか??
アメリカ、ヨーロッパではメーカーが供給している「純正パーツ」の他に、大手の「社外パーツ」のメーカーが市場で価格競争をしているのです。健全な価格競争や品質競争が起こる欧米では、自動車のパーツがより「安く」「高品質で」購入できるという夢のような環境が整っています。
日本ではトヨタ車のパーツはほぼ「トヨタ」でしか買えませんよね。つまり本来は500円くらいの価値のパーツが、トヨタやホンダが「1500円です」といえばそれがまかり通ってしまう世界なのです。それがそもそもガラパゴス、独占状態だと思わないでしょうか。
日本の大手メーカーにとっては内需を守ることは最優先というのは理解できます。「外車は故障するから」という明確な根拠もない噂を延々とお客さんに伝え続けていれば、またお客さんは国産車を乗り続けてくれるとメーカーは思ったのかもしれません。そんなことをバブルの時代から延々とやってきていたのかもしれません。
それで内需は守られてきたかもしれませんが、結果としてどうでしょうか。国内メーカーを甘えさせる状況が長く続いた結果、国産車にはお金を出してでも「欲しい!」と思える魅力的なクルマがなくなってきました。
新型が出ても「あれ~何となくどこかで見たようなデザインだなあ」だったり、せっかくスポーツタイプのやる気の出る車が出たと思ったら高額すぎてまるで手が届かなかったりします。「お客様はまた買ってくれる」と思って手を抜いてきた結果、その陰で黙々と品質の向上に努めてきたヨーロッパ勢の逆襲が始まっています。
もともとデザインでは世界をけん引してきたヨーロッパ車ですが、今では品質も国産車と大差ないと言われるまでになってきていますよね。これはまさに怠けてきたウサギと、せっせと全身してきた亀の話と似ています。
閉鎖的な考えの人達の中では「外車は品質が悪いから今でも故障するに決まっている」という人は一定数いますが、それでは具体的に何がどう違うのでしょうか?それは乗り比べてきた人たちのみが知る世界であって、未だに狭い価値観の中で閉じこもっている人たちには永遠に分からない世界に違いありません。
私はこれまで3台のドイツ車やイタリア車を乗り継いできました。しかもどれも「故障する」と言われる、10年落ち以上の中古車でした。車は言葉を話さないかもしれません。しかし時間をかけて静かに「真実」だけを語りかけてくることは確かです。
VW(フォルクスワーゲン)のUP!を故障させないために必要なこととは?
私はこれまでに、
- オペル・アストラGクーペ(ドイツ)
- アルファロメオ・147後期型(イタリア)
- アルファロメオ・155(イタリア)
という車歴があります。どれもこれも普通の人なら故障が怖くてひいてしまうような車ばかりです。オペルと言っても知らない人もいるくらいかもしれませんが、国内ではヤナセが2006年まで輸入していたれっきとしたドイツ車です。
日本ではさんざん故障するという噂を流されてぼろくそな評価を受けましたが、それは実態があいまいな噂でした。維持してみて分かりましたが、実際は下手な国産車より頑丈な車を造っています。
それに日本で知られていないだけで、欧州ではヨーロッパスタンダードとして、フォルクスワーゲン並みに見かけるメーカーです。そんなメジャークラスな実力を持ったメーカーの車がそう易々とポンコツを作るはずがありません。
アルファロメオも「故障する」と言われるでお馴染みですが、2000年に入ってからは格段に故障しにくくなったということで少しずつ認知され始めていますよね。
ですが私はただ黙って維持していたのではなく、以下の点を追及しました。
- 国産車と欧州車の違いを勉強する
- 車にとって当たり前のメンテナンスをサボらず行う
- 正規ディーラーに依存せず、メンテナンスコストを抑えるために頭を使う
上記3点を意識していました。経験から言いますと、この3つさえ追及できれば無茶な車でないかぎりどんな輸入車でも乗れます。逆に受け入れられない場合、諦めて国産車しか乗れない人生を歩んだ方が幸せかもしれません。なので、輸入車は乗り手を選ぶとも言われます。
国産車とUP!は何が違うのか?
国産車とUP!は原則として同じ車です。何のことはない、似たようなパーツで構成されているので、走行すれば似たようなパーツが劣化します。なのでUP!には国産車と比較しても特別なメンテナンスを要求されませんが、ただ異なるのは「メンテナンスがシビアに要求される点」と「消耗品とするパーツの範囲が広い」という点ですね。UP!の例を見ても以下のパーツが走行距離ごとに寿命となるので、交換が必要になります。
走行5万キロ毎の消耗品
- スパークプラグ
- イグニッションモジュール
- フロントブレーキパッド(摩耗具合を見て)
- フロントブレーキパッドセンサー(ブレーキパッドと同時交換推奨)
- フロントブレーキディスク(摩耗具合を見て)
- ブローバイホース
- ヘッドカバーガスケット
- フューエルフィルター
- エアフィルター
- フロントアッパーマウント
- フロントショックアブソーバー
7~8万キロ毎の消耗品
- エアフロメーター
- フューエルポンプ
- O2センサー
- アイドル制御バルブ
同時交換推奨パーツ
- カムシャフトセンサー
- クランクシャフトセンサー
- ウォーターポンプ
- サーモスタット
10万キロ前後の消耗品
- スタビライザー等ブッシュ類一式交換
- 5万キロ毎の消耗品交換
- ASG油圧ポンプ(要確認)
- ASGアキュームレーター(要確認)
※加えてUP!の場合はASG(カタログではオートマと表記されるが実は構造がマニュアル車)なので、通常のオートマのようなメンテナンスではなくマニュアル車のようなメンテナンスが要求されるので注意。
- 定期的なASGオイルの量の点検
- 2万キロ前後でASGオイル交換(メーカー推奨距離よりマイナス1~2万キロを目安に)
- 約半年~1年毎を目安にASGのキャリブレーション(ずれ調整)を行う(要確認)
ASGとほぼ同様のからくりを持った車はUP!以外にもありますので、ぜひ以下より一度ご覧いただくことをお勧めします。
専門用語も多いので、ここまでお読みいただいて「?」マークが浮かんでいる方も多いと思います。上記のパーツが何なのかは今は分からなくても大丈夫ですが(上記のパーツ名さえメモすれば整備士さんに伝えられるので)、車って距離を走ればこんなパーツが寿命を迎えるんだな、ということを把握しておくことはとても大切です。
別にこれらのパーツは「UP!だから特別に必要」というわけではなく、国産車でも同様のものが要求されているのです。タイヤだって国産車でも5万10万とするものですから、劣化すれば入れ替えるというのは当然です。
「そんなパーツは聞いたこともない」という方も多いと思いますが、国産車でも5年目や7年目の車検で上記のようなパーツ交換が行われているのです。いきなり車検の見積もりが急に高くなるのでびっくりすると思いますが、その理由はクルマとは走行距離を重ねれば色んなパーツが寿命を迎えるから、ということです。
そのパーツを定期的に入れ替えることによってクルマはコンディションを保つことができるのですが、その内訳までを見ているという人は多くありませんし、それすら知らない人が圧倒的に多いです。
なので上記のような代表的な消耗品の交換を怠ると「故障だ!!」と大騒ぎすることになってしまうということが分かります。加えて安全基準が厳しいでお馴染みの欧州車では、オーナーがメンテナンスをサボると「早くメンテナンスしろ」と警告してきますから、いきなり変な音が出たり警告灯が点灯することがあります。
例えばヘッドライトが切れて片目だけで夜間に高速走行していたらとても危険ですよね。だから「早く電球交換しろ」という警告を発するようになっている。よく考えてみるとごく当然なリアクションです。
国産車はあくまで私の見解ですが、リアルに車があちこち限界に達するまで警告灯は点灯しないようになっています。警告灯が点灯したとしても、それはもうすでに手遅れだった、という話を何度も聞いています。
弟は国産ディーラーの整備士ですが、エンジンオイル交換の際に残量1リットルか、もっと少ない量でも警告しないセッティングになっているそうです。もしそんな状態で走行できるとしたらエンジンはあっという間に故障してしまいます。
現に、ガソリンスタンドでエンジンオイル交換をした後にボルトの締め付けが甘く、漏れているにも関わらずそのまま高速走行してしまってエンジンを故障させてしまったという人は私の知る限りでは3人もいます。エンジンが故障してダメになった後、ようやく警告灯が点灯したそうです。
おそらく、メーカーは簡単に警告灯が点くセッティングにしてしまうと「故障が多いクルマ」と思われてしまうということが怖いのでしょう。でもそれって警告灯の意味があるのでしょうか。ですが一部の国産車ではそれが当たり前のようです。
なので国産車の特徴として、メンテナンスや定期点検をサボってもある程度は走ることは走ります。でも人間でいうところの「痛みを感じずに働いている状態」なのでオーナーが車の異変に気付かず乗りっぱなしにしていることが良くあります。よく信号待ちなどでエンジンからヒュンヒュン聞いたことのない異常音を発している危篤状態の車をよく見かけますが、それでもあなたは「走ればいい」と思いますか?
それが許されないのがドイツ車であって、UP!を乗る上で受け入れるべきハードルです。あなたはこれまでの国産車の常識を乗り越えていく覚悟はありますか?と言っても、当たり前のメンテナンスを当たり前にこなす、という事なのですが。
UP!を購入した後のメンテナンスはどうしていけばいい?
新車でUP!を購入した場合は初期トラブルなどに関するメーカー保障がありますので、基本的に保証期間内であれば大人しくディーラーでメンテナンスが無難です。しかし上記のパーツ交換をディーラーでお願いした場合はそれなりの予算が必要です。ディーラーのパーツは本国価格よりかなり利益が乗っかっているからです。
それに最悪なことに、ディーラーは何キロくらい走ったらどんなパーツが交換になる、などの情報を事前に教えてくれません。その代わりに5年目くらいの車検以降で溜まってきた消耗品の交換をドカンと後だしで請求する方法です。こうなればユーザーは新車を買った方が得だ、と錯覚してしまうのです。
なのでこちらから先手を打って車検時期と重ならないようにまめにパーツ交換を行っていくというやり方がいいですね。車検以外でパーツ交換を分散させていけば、車検のときにはいじるところがない、という状態にまで仕上げることができますよね。
必要となるメンテナンスを把握し、日ごろからメンテナンスをしていれば車検の時にはメカニックさんもびっくり、いじるところが何もなくて高額な請求で新車買いませんか?の提案ができないほど安く上がっちゃった、なんてことも実現できますよね。
さらに保証期間が切れたUP!や中古で入手した個体では、純正同等品のもっと安価なパーツを自分で取り寄せて最寄りのボッシュカーサービスさん(輸入車整備のプロ集団)などで取り付けをお願いする、などすればディーラーメンテナンスより安くコストを抑えることができます。
メンテナンスならディーラーが安心?いえいえ、ディーラーよりフォルクスワーゲンのことが本当に好きで、ディーラーより詳しくてお客さん想いのプロ集団は他にもいっぱいいます。
ディーラー以外でパーツを入手することに抵抗がある方もいるかもしれませんが、モノはほぼ同じですからね?パーツをディーラーで買うか、それ以外で安く買うかの違いです。パーツの適合確認さえ怠らなければ素人でもできるはずです。パーツの適合確認は欲しいパーツの「品番」をディーラーに問い合わせるだけです。
良心的なお店なら問い合わせるだけで料金は発生しないと思います。ヤフオク!などで出品しているパーツ屋さんはちょっと怪しいものも混じっていますので初心者にはリスキーですが、楽天で出品しているような輸入車パーツを扱っているお店は比較的規模が大きく、要チェックです。
そこでパーツ名と、ディーラーで教えてもらった品番を伝えて見積もりをもらう、それで一番安くて信用できそうな業者さんから買う、という流れですね。
さらに安く維持する方法とは、それはパーツ交換を自分でやってしまうという事です。限りなく安くなるなら、自分でやってみる価値はあると思いませんか?
輸入車のセルフメンテナンスなんてハードルが高そうですが、欧州人の彼らが日常レベルでできて手先が器用な日本人にできないはずはないと思いませんか。今はネットで調べれば大抵のことは分かってしまいますし、それに自分で調べて出来るようになれば一気に車のことについて詳しくなれますし、変なデマに流されにくくなりますよね。
どこまでも安くなるなら、わかんなくても自分で方法を調べてやる、くらいのやる気があれば軽自動車並みの維持費まで落とすことだってできます。メンテナンスで一番金がかかるのは工賃、つまり人件費です。そこを削れるのですから、相当安くなりますよね。
ここまでご覧いただき、いかがでしたでしょうか?今はネット情報化が加速し、メーカーの企業努力もあって品質は格段に向上し、グローバル化の流れが来ています。それなのに未だに古い情報に流されて、本当に欲しい車を我慢し続けるというのは不自然です。
ユーザー側も知識をしっかりつけて頭を使い、利用できるものはどんどん利用して有効活用していくことによって、できないと思われていたことができるようになるという時代です。それが2017年というものです。同じお金がかかるなら、あなたはどんな車を選びたいですか?どうせ1回きりの人生だから、一生に一度と思って乗ってみる価値はある車だと思います。