メルセデスベンツ

ベンツW211は故障が多い最悪のモデル?後期は安全なのか?

ベンツW211は故障が多い最悪のモデル?後期は安全なのか?

ベンツW211は故障が多い最悪のモデル?後期は安全なのか?というテーマでお伝えしていきます。メルセデスベンツW211はEクラスとしては三代目のモデルとなり、2002年に登場しました。W211の他、S211というコードもありますがこちらはステーションワゴンモデルです。基本的にはセダンとステーションワゴンのメカニズムは大きく変わることはありませんので、共通した内容として参考になると思います。

W211は丸目の4灯式ヘッドライトの時代で、ボディカラーはシルバーがよく似合う現代ベンツとは対照的なコンサバティブ(保守的)な雰囲気が残るオシャレなベンツです。特に前期型はエレガントな感じですが、後期モデルからは少しスポーティな感じになっています。近年のメルセデスベンツはゴージャス+スポーティを全面的に打ち出し、若年層にも受け入れられるようなブランド戦略を打ち出していますが、この頃から少しずつ路線変更していきていることが分かります。そのような時代の流れから以前の保守的な雰囲気のベンツが良かったというファンもいるので、W211は今でも一定の人気があり街中でも見かけることが多いです。

出典:Spot of Mercedes-Benz E 230 2.5 V6 7G-Tronic, 204hp, 2008 by marcusliedholm/www.car.info

さてここからは個人的なインプレッションですが、メルセデスベンツのクルマ造りの伝統として「最善か、無か」というスローガンがあります。メルセデスブランドの車は他社にはないメカニズムを積極的に採用し、世界の自動車業界を引っ張ってきた歴史がありますので、所有すると他にはないメルセデス・ワールドを体感できるという歓びがあります。サイドミラーにウインカーを内蔵したのも実はメルセデスベンツなのです。

これはメルセデスベンツの「最善以外は無も同然」というブランドに対する信念でもありますが、W211は残念ながら「無」のベンツとして評判を落としてしまった歴史があります。先進的なのは大いに良いことなのですがW211のものは過渡期で試験的なものがあり、さらに前期モデルではコストダウンの流れを強く受けていてその影響で以下のようなつまらないマイナートラブルが続発しました。

  1. SBC(Sensotronic Brake Control)というブレーキ関係の先進装備のリコール
  2. SAMと呼ばれる過渡期の電気系統の採用によるトラブル
  3. コストダウンによる考えられないマイナートラブル

SBCについては試験的に導入された経緯もあってブレーキが効かないなどの危険性が出たため、大規模なリコールが行われました。それに懲りたのか後期型では通常のブレーキに戻されています。SAMについては故障というより消耗品扱い(ワイパーゴム変えたりバッテリー替えたりする感覚)で、これがいつ出るのか分からないという感じです。フロントとリアの二か所に設置されていて簡単に言うとヒューズボックス的な部品なのですが、フロントがダメになればフロント周辺の電装系が、リアがダメになればリアの電装系が使えなくなるという結構シャレにならないものです。

SAMがダメになるとCPU(車の脳みそ的な感じのパーツ)に正しい信号が送られなくなり、チェックランプが一斉に点灯しますので「出ちゃったなあ」という感じになります。これは後期型も該当してしまいますが、すべての個体がなるというわけでもなく部品の供給もあり、交換も大変ではないので出てしまったときは「ああ、これがメルセデス・ワールドなんだな」と軽く流せるくらいの余裕は必要になります。

W211の後期型に関してもSAMの不安は残りますが、低い排気量のモデルを選べば嫌になるようなマイナートラブルに悩まされるリスクは少なく、普段使いにも応えられるくらいだと思います。W211には排気量5,000ccクラスの設定もありますが、こちらは「エアサスペンション」が消耗品としてのしかかってきます。エアサスペンションはヘタると有無を言わさず車高がペタンコになるというリスクがあります。「ベンツのエアサスは故障する」とよく言われますが、そもそもが消耗品扱いなので故障するという認識は少しずれています。

とはいえディーラーに丸投げ整備だとウン十万というパーツ代になるのでセレブでもない限り到底納得できる金額でないことは分かります。5000ccという排気量のグレードがそもそもセレブ向けのグレードということと、エアサスによほどの拘りがない限りは後期型V6モデルの3000ccクラス一択をお勧めします。続いて、メルセデスベンツというブランドに乗るという事は何を意味するのか?ということについて解説させていただきたいと思います。

メルセデスベンツに乗るためにあなたに要求されることとは?

ベンツW211の前期型と後期型では後期型が良くてなおかつ3000ccくらいがお勧めですというお話をさせていただきましたが、そもそもメルセデスベンツを所有するとはどういうことなのか?について個人的には最初に知ってもらう必要があると思っています。というのも海外ではベンツといってもトラックやバン、タクシーなどもあるのは有名な話ですよね。そういう商業車カテゴリーの車って決して高級とは言い難いですよね。でもあなたがよく知る日本に入ってきている「メルセデスベンツ」というのは親会社ダイムラーの高級ブランドという扱いになるので、ターゲットも実は富裕層になります。

「セレブが乗るよね?」という前提で作られていますから、Aクラスなどのコンパクトなモデルでも他のBMWやフォルクスワーゲン等の欧州車よりもパーツ代や整備にかかる費用は一ランク上になるということをご存知でしたでしょうか。外車と言ってもフォルクスワーゲンの場合は日本語で「大衆車」を意味します。大衆とは「みんなが乗れる」ということですから、実は維持にかかる費用も「本国では」庶民的なのです。

日本では外車と言えばよせばいいものを高級のイメージ戦略で販売してますから、それをいいことに本来大衆ブランドであるはずのフォルクスワーゲンも日本のディーラーではパーツ代にかなり利幅を乗せて売買されてしまっているというのが真実です。オイルフィルター本国で1個500円、なのが日本に来ると2500円くらいになってしまうというのが分かりやすい例です。嫌なら乗らなくていいよ、というのは何ともヤンキーじみた商売だと思わないでしょうか。

メルセデスベンツの場合は例えAクラスだとしてももう一ランク上を要求されますから、あなたにそれなりの収入があるということが前提、ということを踏まえる必要があると思います。ましてやEクラスとなれば本国でも大衆ではなくエグゼクティブに位置するクラスなのでエンジンも大きく、それに伴ってメンテナンスの規模が大きくなり部品点数も増えますからそれなりのものが要求されます。

なのでまずは小型なAクラスから入ってみるか、メルセデスベンツに拘りが特になく、輸入車ビギナーであればW211より小型のフォルクスワーゲンやBMW1シリーズなどからスタートしてみるというのが私はお勧めです。国産車のように価格が下がればそれなりだよねということはなく、エントリーモデルでも十分にメーカーの世界観を堪能できるという旨みもあります。

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ベンツW211後期型の故障率を下げ快調に乗るためのメンテナンスとは?

それでもW211が好きで乗ってみたいという人は沢山いると思いますので、参考までにメンテナンスについて解説させていただきます。もし私がW211に乗るならば以下のような感じでメンテナンスしていくと思います。

走行4万キロごとに行うメンテナンス

  • ブレーキパッド+センサー(摩耗の具合に応じて)
  • フューエルフィルター
  • エアフィルター
  • イグニッションコイル+スパークプラグ
  • ブローバイホース
  • ATF+フィルター+カプラー交換
  • バッテリー+サブバッテリー交換

 

走行7万キロごとに行うメンテナンス

  • カムシャフトセンサー
  • クランクシャフトセンサー
  • ウォーターポンプ
  • サーモスタット
  • エアフロメーター
  • フューエルポンプ
  • O2センサー
  • アッパーマウント+ショックアブソーバ4輪
  • スタビライザーリンク
  • アイドル制御バルブ

 

走行9万キロごとに行うメンテナンス

  • ブレーキディスク4輪
  • Vベルト+テンショナー
  • エンジンマウントブッシュ
  • カムシャフトカバーガスケット
  • スタビライザー等ブッシュ類一式交換
  • 5万キロ毎の消耗品交換

「こんなにメンテナンスが必要なのか?」「やはり外車は…」と思う人も多いと思いますが、実は本来国産車でも要求されるようなメンテナンスが大半です。なぜそんなことが言えるかというと、クルマの構造なんて車種が別でも大して変わりないからです。故障するというのは上記のメンテナンスをサボったから出た、というだけであって本来は消耗品なので交換が前提であるということです。

「サボったから出た、以上」というだけの話です。バッテリーが上がったから故障した、という表現はおかしな話になりますよね。走行距離はあくまで目安で、運転の癖や周囲の環境、年式によって異なるのでプラスマイナス2万キロくらいは普通にありますが、だいたいこれくらいを目安に実施していればベンツだろうがポルシェだろうが新車当時の性能や燃費を維持しつつ快調に乗ることができます。

国産車はメンテナンスフリーと思い込んでいる人が多いですがそれは間違っています。国産車の場合、車が不調でもセンサーがなかなか反応しないことに加えてユーザーの乗り換えスパンも短く、車検で高額な見積もりを提示されると一定の車種に拘りを持たない一般ユーザーはすぐ目新しい新車に乗り換えを検討します。なので不調だと気付かず終わることが多いのです。

そして中古として流れてきた個体を買い、次のオーナーで大なり小なり故障が出てツケを払って乗っている、というパターンがだいたいです。全てがこの限りでないにせよ、確実にそのような傾向にあると思います。それを知り、踏まえたうえであなたがどんな選択をするか?ということが大切だと思います。

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ベンツW211前期型・後期型の共通の故障やウィークポイント

上記消耗品の他、どんな車種にも弱いポイントがあるものです。W211を乗るうえで予備知識として入れておきたい部分として、

  1. ステアリングラック(ステアリングギアボックス)の故障
  2. ステアリングアングルセンサーの故障
  3. フロント・リアSAMの故障
  4. ラジエーター・冷却水ホースのひび割れによる水漏れ

これらは消耗品というよりは低年式の個体で出る可能性があるものです。出る傾向があるというだけであってすべての個体でもれなく出るわけではないということと、特に後期型であれば何事もなく乗れてしまっているオーナーの方が圧倒的に多いと思います。さて、それよりも大切なことがあります。上記を見ると特に「ステアリング」と付くパーツに難があることが分かります。

ということは、W211はハンドルを回すときの部品に不具合が出やすいということが分かります。そのような点を考えたうえで、W211の中古車を選ぶときは試乗をして「ハンドルを回した時に違和感がないかな?」という点を注意してみるということが大切ですよね。ダメな固体はハンドルを切った時に「キュッ、キュッ」と音がしますので素人でも比較的分かりやすいです。

他にも上記消耗品の交換をサボってきた個体であれば、試乗したときにエンジンの調子が悪いかもしれないですよね。なので中古車を買う時に試乗をしないというのは自爆行為です。走行10万キロ前後の個体であれば、これまでどれだけちゃんとメンテナンスされてきたか?ということも大切です。中古車を買って、後から故障したというのは必要なメンテナンスをされていなかったからです。

きちんとメンテナンスされてきた個体であれば「定期点検記録簿」というメンテナンスの記録が付いていますが、これはディーラー車であれば付いているということはないので「ディーラー神話」には注意が必要です。では走行距離が1万キロや2万キロの少ない中古車であれば安心かというと全くそんなことはなく、走っていない車は「初期トラブル」が出きっていないことがあります。なので買ってから出た、というのを防ぐのであればある程度慣らし運転が済んだ走行4~5万キロ程度の個体を選ぶことをお勧めします。

W211に安く乗りたいならばディーラーメンテナンス丸投げを卒業せよ

最後に、当サイトを見ていただいたあなたに特別お伝えしたいことがあります。ベンツW211に限らず、欧州車をより安く維持・メンテナンスする方法があります。それはディーラーメンテナンス丸投げをやめることです。私は外車でしかも15年落ちのオペル・アストラに乗っていますが、以下のようにしてなるべくランニングコストを抑えるようにしています。

  1. パーツはディーラーに任せずネットで一円でも安いところから買う
  2. 手に入れたパーツはできる範囲で自分でやる
  3. 2~3週間に一回は自分でボンネットを開けて様子を見る
  4. 車に負荷をかけない運転を心がける

この3つは必ず意識しています。特に1番は節約に最もダイレクトに影響する部分で、これはあまり知られていませんがディーラーで出る部品は本国価格の1.5倍は当たり前です。モノによっては5倍、10倍近い金額になるものもあります。しかも本当に無いと困るパーツほど超高額になっており、いかに日本がガラパゴスで時代遅れな商売が横行しているかが分かります。試しに海外版Amazonのようなサイト「ebay」でパーツの相場を調べてみると日本との金額の違いに驚くと思います。

今では海外の安くて信頼できるパーツを楽天などで安価で販売している企業も増えてきているので、私はディーラーでパーツを買うということがほぼありません。ディーラーにお世話になるのはパーツの正確な品番を知りたいときだけ利用するという感じです。ネット通販でパーツを入手するときにはお店に適合確認を必ずしてもらい、純正パーツの品番を教えて間違いがないかを必ず確認してもらいます。

そしてパーツを入手したらできるだけ自分で交換に挑戦する様にしています。自分でやれば3万円かかる工賃がゼロになるかもしれないと思えば、自分でやってみようという気にもなるのです。それに車の知識もみるみる増えていきますので、次のクルマ選びでヘタなセールストークに踊らされにくくなりますので一生の財産になりますね。そしてこれは思わぬ副作用ですが、自分でやると周囲の評価が変わります。

子供のいるお父さんであれば、日曜日ボンネットを開けて車をいじっている姿を見たお子さんは「パパすごい!」となるかもしれませんし、外車反対派の奥さんからは「経済的で助かるわ!」と思われるかもしれません。今どきの女の子はテレビとプレステの配線を繋いであげるだけでもすごいリアクションしてくれるので、彼女持ちの男性にとっても評価は確実に上がります。確かに自分でクルマのメンテナンスなんてハードルが高すぎる!という人が大多数かとは思いますが、本当に何もできないのでしょうか?

今ではユーチューブで実践動画をいくらでも無料でみることができますし、ネットで調べれば大半のことは分かります。素材やチャンスはいくらでもありますので、まずはあなたができることを探して実践してみることが大切だと思います。最初はボンネットの開け方からでも良いと思います。むしろボンネットを開けないと本当のメルセデスワールドを知ることはできないのでは?と思うくらいです。なのでトラブってもチャンス!くらいに思っていて、むしろ楽しむくらいの余裕を持って、私は欧州車ライフを楽しんでいます。あなたにとって最高のクルマ選びの参考になることを祈っています。

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