メルセデスベンツ

ベンツW203の定番の故障は?後期型なら安心か?

ベンツW203 の定番の故障は?後期型なら安心か?

ベンツW203 の定番の故障は?後期型なら安心か?というテーマでお伝えしていきます。W203は2000年に日本で発売されたメルセデスベンツのCクラスのことで、現行W205のおじいちゃんに当たるモデルです。

個人的な印象としてメルセデスベンツのCクラスはW203の後期型から大幅に質感・信頼性が向上してきて、普段使いでも困らないレベルにまでになっていると感じます。なのでW203を乗るならば2004年6月以降の後期型の一択、が定石通りになると思います。さらに維持費ベースで考えるならばV6より直4エンジンの方を選ぶと整備性も良く大きな失敗は少ないと思います。

出典:Mercedes-Benz C-Class W203 photo 10969/www.carsbase.com

一方前期型は2000年発売当初から2003年頃まで製造されたモデルのことを指しますが、W203の前期型と言えば巷では故障が多い、酷い世代のベンツと言われたりしており決して評判は良くないです。その分中古車価格は安いのですが、オイル漏れの致命的な欠陥を抱えているのでそのまま乗っていれば十中八九ECU(エンジンコンピュータ)がオイルに浸り、ご臨終するという時限爆弾が付き纏います。

主にW203前期型で起こる定番トラブルについて発生率順に下記にまとめてみました。

  1. エアコン内部のコントロールユニット動作部のギア山の故障
  2. カムシャフトアジャストマグネットからのオイル漏れによるECU及びO2センサー故障
  3. オートマのカプラ部分からのオイル漏れ
  4. ブローバイホースの亀裂破損
  5. ステアリングアングルセンサー故障
  6. オルタネーター故障
  7. フューエルポンプ故障
  8. エンジンマウント劣化によるアイドリング時の振動
  9. エアコンのコンデンサー部からのガス漏れ
  10. サーモスタット故障による冷却水温低下およびエンジンチェックランプ点灯

ざっとまとめてみると、なるほどこれは故障するでお馴染みの「壊れる輸入車」のイメージのままの車であることが分かります。W203の前期型はよほど好きでないと乗ってはいけない車であることが分かります。後期型なら完璧かというと決してそんなことはなく、一部で出てしまう個体もあるようです。

1~3についてはド定番トラブルで、ほぼすべての個体で出ると言っても過言ではないです。ブローバイホース、フューエルポンプ、エンジンマウント、サーモスタット辺りは走っていれば摩耗し交換が必要になる「消耗品」の範疇ですが、W203の場合は早めのスパンで出ると見た方が良いです。

ベンツW203前期型は故障が多くて成す術無し?私がW203を買うとしたら

ここまで故障が多いと分かるともうW203の前期型なんてとんでもない、後期型も怪しいとなれば何を信じていいのやら、となってしまいます。そうなると夢も希望もないのですが「私がもしW203を買うとしたら」という前提で「W203購入術」をお伝えしていきますので何かの参考になれば幸いです。

始めに考えていくことは前項でご紹介した定番トラブルをどうするかということです。これは一見どうしようもないように見えますが、W2o3を買う前ならば「ある程度」は何とかできます。私なら最初に走行5万キロ前後の中古車でターゲットを絞っていきます。これはなぜかというと、走行5万キロも走っていると定番トラブルならばすでに出尽くしている可能性があるからです。

出尽くしているというのは前オーナーがメーカー保証で対策済みか、もしくは前オーナーがお金を払って直している可能性があるということです。それを確かめるために必要な材料とは定期点検記録簿というものです。これは読んで字のごとくその車の整備の履歴であり、いきなり素人が読むと大変ですが販売店などに「ココ、直してあるか確認してください」というふうに確認させることはできます。つまり前項で挙げたリストをもとに確認をさせるということですね。

これを一台一台やっていたらきりがないのですが、ネット大手中古車サイトのカーセンサーやグーネットでは各中古車ページで記録簿付きかどうか簡単に確認することができますので、実際にクルマを見に行く前に記録簿付きの個体だけである程度ターゲットを絞り込めます。そして実際に記録簿を確認してもらうとまだ出尽くしていない定番トラブルがあって、買った後に出るのではないかと不安で乗れませんよね。

なのでそのために「こんな定番トラブルがあるようなのですが、買った後に出たらどんな対応をしてくれますか?」というオープンクエスチョンをしてみます。そこで回答をはぐらかすようならばもうその販売店では買うべきでないでしょうね。反対に具体的で売る気の感じられる回答であれば保留にしておく感じにしていく。

加えて「W2o3に興味はあるけど例の定番のオイル漏れ等のトラブルが不安で購入に踏み切れない。買った後に各部を点検して納車してもらえるのか?もし買ったあとにオイル漏れが見つかったら無償でやってくれるのか?」というように釘をさしておくと更に確実です。

この質問は販売店としても核心を突かれるような内容で、買う前に販売店の資質を露呈させる良い質問でもあります。ここでも回答は具体的で納得のいくものなのか?という点に着目して聞きます。「すみません、それは自腹です」と言われればそれまでですが、買う前に「定番トラブルが出れば自腹になる」という事実が回収できただけでも良い収穫になります。逆に販売店側から良い提案をされることもあるので、やはりここでも販売店の資質がもろに出ます。

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W203狙うなら1か月でも「保証付き」の個体を狙うべき理由

W203に限った話ではないのですが中古車において保証が付かない個体を買うのは自爆行為です。私は保証が全く付かない中古車を一度買ったことがありましたが、それは「故障してもいい」という割り切りがあったからです。半年乗れればいいやというノリで何と総額5万円の車を買ったことがありまして、結果として半年間でマイナートラブル続出でした。当時の中古車選びの判断基準として、普通に走ること、エアコンが普通に効くことの二点があれば十分でしたので動かなくなったら廃車にすればいいとさえ思っていました。

そういった特殊なケースでもない限り、中古車で保証が付かない車を買うということは私ならまずしません。保証がないということは買った後何があっても自腹を切りますということですので、販売店もそれなりにしか事前整備はしないはずです。それで具体的にどのくらい保証がついていた方がいいのかということですが、W203の場合は1か月でもだいぶ違います。

一か月でも保証がついていれば販売店も保証期間内にトラブルが出ないようにそれに向けてきちんと車を診るはずですので、結果はだいぶ違ってくるはずです。本当は3か月や半年でもついていた方が安心なのですが、W203の場合は年式的にもう10年以上経っていますので、つけろという方が酷です。もしついている個体があったら押さえておきたいところですね。

また、保証付きの個体に関しては「保証の範囲」をしっかり確認しておきたいところです。W203では定番トラブルが多いですが、それらが出てしまった場合の保証についてしっかりと釘を刺しておきたいところです。ここではセールスマンに対する言い方を少し考えないと「面倒な客だ」と思われますので、ネゴシエートする力(交渉力)が試されます。

W203は試乗して問題のありそうな個体を事前に識別する

前項までは与えられた情報から個体の良し悪しを見抜ぬく方法をお伝えしてきましたが、今度は実際に動かしたり試乗したりしてW203の当たりはずれを見抜いていきます。中古車の当たりはずれを見抜くというのはプロでないし素人には難しく聞こえると思いますが、プロでも故障しにくい個体というのを完璧に見抜くことはできません。それでもW203は買う前にいかに個体を見極めていくかという点が非常に大切でして、例え素人でもポイントを押さえれば大きなハズレ物件は避けることができるように思います。

W203を本気で買うならばとにかく試乗できる個体から絞っていくことです。私ならカーセンサーなどで事前情報のみでまず3台ほど試乗候補を選定し、試乗ができるのか予約の電話をします。この時点でなんだかんだと言い訳をして乗せてもらえなそうな対応であれば、怪しいので迷わず他を当たります。試乗の予約が取れたら実際に見にいくわけですが、ポイントとして事前にメモで聞きたいこと・確認リストを作ってもっていくといいですね。

頭では聞きたいことが分かっていても、いざ車を見に行ってセールスマンと話をしていると忘れます。私はその経験がありまして、面倒でも「最低限これだけは聞いてから契約する!」というメモ書きのリストを作って話せばよかったと後悔しています。そしていざ実車を見てみるとセールスマンもとなりにいるので何となく気が散ってしまい、じっくり見れない状況も考えられます。

私も隣にセールスがいると何か余計なことを言われるのではないかといろいろ考えてしまうタイプなので、「5分くらいまずは車をじっくり見させてください」と一声かけるようにしています。エンジンをかけていいのならば始動の具合を見ます。スムーズにかかり、エンジンのアイドリングが安定しているかを見ます。ここでバラつきがあるあらば「気になる点」として手持ちの小さいメモに記録していくなど、セールスマンに確認したいことを箇条書きで整理していくといいですね。

他にも実車で動かせる電装系は全て動かして動作をチェックしてみることをお勧めします。この時点で異常が分かれば、そこを直してもらってから納車してもらうことはできるのか?という交渉までもっていくことができますし、乗ってから「出た」という状況を回避することにもつながります。試乗ではエンジンの滑らかな回転やシフトの異常の有無、足回りの異音などを細かく見ていきたいですね。ここでもセールスマンと話しながらだと全く集中できないので、「試乗に集中させてもらいたい」という断りを入れるといいです。

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W203の故障トラブルをさらに防ぐための大切な消耗品管理

W203は初期のものですでに18年(!)選手なので当然各部の消耗品交換は避けて通れない道です。もうそろそろネオクラシックに入る世代になってきているので、長く乗るのであればそれなりのマイナートラブルはあると思っていた方がいいです。車の消耗品と聞くとエンジンオイルやタイヤ、バッテリーくらいしか知らない人が多いのですが、w203においてはそれだけでは足りません。

消耗品というと車検や点検の際にまとめて交換するものと思われがちですが、実はその管理の仕方は無知という他ありません。クルマの消耗品交換時期は走行距離によってだいたい決まっているので、年数よりも走行距離ベースで管理した方が分かりやすくなります。走行距離ベースということは車検や点検のついでにやるという管理の仕方ではなく、何キロ走ったらココをやる、という感じにしていきます。まずは以下の一覧をご覧下さい。

走行5万キロ前後ごとに行うメンテナンス

  • ブレーキパッド+センサー(摩耗の具合に応じて)
  • フューエルフィルター
  • エアフィルター
  • イグニッションコイル+スパークプラグ
  • ブローバイホース
  • ATF+フィルター
  • バッテリー+サブバッテリー交換

 

走行8万キロ前後ごとに行うメンテナンス

  • カムシャフトセンサー
  • クランクシャフトセンサー
  • ウォーターポンプ
  • サーモスタット
  • エアフロメーター
  • フューエルポンプ
  • O2センサー
  • ショックアブソーバー+アッパーマウント
  • スタビライザーリンク
  • アイドル制御バルブ
  • エアマスセンサー

 

走行10万キロ前後ごとに行うメンテナンス

  • ブレーキディスク4輪
  • Vベルト+テンショナー
  • エンジンマウントブッシュ
  • カムシャフトカバーガスケット
  • スタビライザー等ブッシュ類一式交換
  • 5万キロ毎の消耗品交換

ずらっとご覧いただいて分かるかと思いますが、当記事の序盤で紹介した定番トラブルのパーツの一部がリストに挙がっています。例えばブローバイホースは走行5万キロ毎の交換が推奨されますし、サーモスタットも8万キロ程度走行した個体だといつ寿命を迎えてもおかしくない状態にあると予想できます。それで勘違いしてはいけないのはサーモスタットはあくまで消耗品なので、ある日突然トラブルが起きてもそれは「交換を怠ったドライバーのせい」です。

それで中古車だと「この個体はきちんと消耗品を交換してきた個体なのか?」ということを買う前に知ることがとても大切です。その状態というのを知るためのツールとして定期点検記録簿が必要であるということです。交換されていなければ当然、交換を検討しなくてはならないのですが上記のメンテナンスを一気にやるなんて現実的でないです。買う前に販売店と相談して、納車の段階で最低限やっておかなくてはならないパーツを教えてもらいましょう。

例えば5万キロ前後走行したW203であれば、5万キロ目安のパーツリストの消耗品を納車と同時にやってもらった方がいいです。交換した履歴のあるものに関してはやらなくていいのですが、ここで整備記録がきちんとついていないと「どこまでメンテナンスしたのか分からない」という状況に陥ることが分かりますね。それで、乗り出しでだいたいいくらになるのか見積もりを出してもらえば、だいたい初期投資でいくら必要なのかよりリアルな金額を出すことができます。

W203は輸入車ビギナーにはハードル高し!他にも選択肢はあるという話

ここまで当記事をご覧いただいて感想は様々あると思いますが、読んでみて自分にはキツすぎるということならば無理して挑んでも後悔するだけです。よほどW203に拘りがない限りは、違ったベクトルでもっと乗りやすいクルマはいくらでもあるからです。多少無理してでもW204の方がはるかにトラブルが少ないですし、同じ程度の予算であればBMWのE90も射程圏内に入ります。

E90は人気車種でなおかつ保証の付く個体が多いこと、ネットで検索すればメンテナンスのノウハウも見つけやすく致命的な欠陥もなし、マイナートラブルもW203よりはるかに少ないです。その他にもお勧め車種は当サイトでいくつも紹介していますので、輸入車の広い世界をまずは楽しんでみて下さい。クルマ選びのご参考になれば幸いです。

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