フォルクスワーゲンのゴルフが故障すると言われる理由とは?というテーマでお伝えしていきます。ゴルフに興味のある方は以下の記事も参考になります。
一口にフォルクスワーゲンのゴルフといっても、初代モデルでは1974年となりますので今から実に40年以上も前までさかのぼってしまいます。なので本記事では新車・中古車問わずに読者の方におすすめできそうな年代のゴルフについて触れていきます。
ゴルフ5(2003年~2009年)
出典:VW Golf 1.6 Comfortline (2004) Driving Impression/cars.co.za
ゴルフ6(2008年~2012年)
出典:Volkswagen Golf VI 2008/autogaleria
ゴルフ7(2012年~)
出典:2017 Volkswagen Golf 7 Facelift/caricos
2017年最新モデルのゴルフ7については以下をご覧ください。
ゴルフ5、ゴルフ6については現在では中古車でしか買えませんが、選ぶ個体やメンテナンス、維持の仕方によって故障するしないはだいぶ変わってきます。
ゴルフ5より古い年式のゴルフ4などになってくると、ある程度の輸入車経験のある人、パーツを海外から引っ張ってこれるような人、そして私のようにとりあえず自分でメンテナンスしてみる、という人でないと困ったことになりそうです。
中古車価格はだいぶ落ち着いてきているとは思いますが、素人がおいそれと手を出すとスパルタメンテナンス生活が待ち受けていそうです。
理由は単純で、高年式ほど想定されるメンテナンス範囲が広がるからです。とはいえゴルフ4からは経営者の方向転換から高級路線へ向いていて、格段に品質と安全性が向上してきていますし、今でも街中ではけっこうな台数を見かけると思います。
なので欧州車で言うところの当たり前のメンテナンスさえしていれば割と気軽に乗れてしまうかもしれません。
ゴルフが故障すると言われてしまう根本的な原因
フォルクスワーゲンのゴルフはそもそも日本車でないということはあなたもご存知ですね。ドイツ車という響きだけでもおしゃれでカッコいい響きがあります。そういった今どきの日本車にはない心くすぐる部分が輸入車の魅力ですよね。
ところがいざゴルフに乗ってみると「故障が多い」とか「日本車の方が故障しなかった」という方がいます。そういう人たちは大抵の場合、日本車の常識を押し付けてしまっているんですね。
もしくは新車で工場の製造ムラが原因で訳の分からないポカに出くわしたりということもありますが、たいていはクルマの「メンテナンスのお知らせ」程度のものです。
郷に入っては郷に従えという言葉があるとおり、日本車の目線で日本車の常識を押し付けることなく、ヨーロッパから来たクルマであればあちらの常識をまずは理解するということが必要ですよね。
その大きな違いは実は「車検があるかないか」だったりします。日本では2年に1度、ディーラーなど整備工場にクルマを預けてメンテナンスしてもらいますよね。
そして車検の時に一気にメンテナンスするので5年目や7年目の車検では20万~というびっくりする金額を請求されて、「車検がこんなにかかるなら新車に乗り換えるよ」という現象が発生します。ですが車検がそもそもない地域からきたゴルフにとって、2年に1回という車検の縛りは全く関係ないですよね。
定期的な車検がない代わりにクルマそのものがメンテナンス時期を把握するようになっていて、時期になったら「警告灯」という形でドライバーに点検するようお知らせしますよね。その時期というのが年数というより、実際の走行距離に応じて出るような仕掛けがあります。
つまり全ての欧州車では車検時期より走行距離ごとにメンテナンスしていく必要がある、という事になります。
欧州車と日本車のメンテナンスに対する考え方の明確な違い
私が以前乗っていたドイツ車のオペル・アストラでも確か走行2万キロ毎で、メーターパネルの下に英語で「点検時期です」「早く工場に入れなさい」という表示が出るようになっていました。
そして厄介なのがここからで、点検しないといつまでたっても警告は消えず、しかも車種によっては「入庫を拒否するならエンジンかけさせません」みたいなセーフティモードに入るということもあります。そのようなメッセージを故障と勘違いして、日本の常識ばかり押し付けて「故障だ!!!」と騒いでも何も始まりません。
ゴルフでもエンジンオイルが規定より1L減ってくるとエンジンオイルレベル警告灯が点灯するようになっていますが、その場合もエンジンオイルが規定量になるまで警告は続きます。
そこまでする理由は「エンジンが故障するよ」「早くオイルを足さないとヤバイよ」というメッセージを伝えたいからですね。そのメッセージにそってオイルを注ぎ足してやると、何事もなかったかのように調子よくなってしまいます。
ヨーロッパでは車検がない代わりにクルマの警告灯の感度を高めに設定することによって、キケンな整備不良車が公道を走れないような仕組みを作っていたんですね。逆に国産車では2年に1回車検で工場に入れるから、という理由からかほとんど警告灯が点灯することはありません。
そうすることによって「故障しにくい」「高品質」という印象をユーザーに植え付けられるようになるメリットや、「外車はすぐ故障するから」「やっぱり日本車がいいっス!」という口実でユーザーをがっちり囲い込むことに成功してきました。
そしてメンテナンスをサボっても警告灯が点かない代わりに、エンジン内部では悲惨な状況になっているとも知らずに…。
日本のよくあるトラックや軽トラックなどではオイルが規定量の3分の1になってもオイルレベル警告灯が点灯しないということはざらにありますが、驚くべきことに一般的な乗用車でも似たような感じです。オイルが少ない状態でも平気で走行できるというのは品質云々の次元の話ではないことは誰でも分かります。
ヨーロッパのゴルフユーザーの場合は何か警告灯が点灯したり異常があっても「そろそろメンテナンス時期か」くらいに思って乗っている人が大半だと思います。それで大抵の場合は自分で何とかしちゃうのです。
メーカーもそれを理解しているので、「一般ユーザーでもメンテナンスしやすいように」との配慮で分かりやすいエンジンレイアウトになっていたりします。ゴルフのセルフメンテナンスブックみたいなものが蔦屋書店的な本屋さんで普通に売ってたりする国です。
自分でやればタダということを理解していれば、「何が何でも理解して、自分でやってやる」という気持ちになるものです。
私もそうやってこれまでの輸入車とは付き合ってきました。最初はカルチャーショックがあるかもしれませんが、そこまで深刻に構える必要はないと思います。
ゴルフのメンテナンスは何に注意すべきなのか?
ここまでご覧いただいていれば、ゴルフを乗っていく上で「そもそも車検なんて関係ない」ということが理解できてきたと思います。そして故障と呼ばれるものの80%は「メンテナンスのお知らせ」程度のものだという事も何となく分かってきたと思います。
ですがゴルフ購入後に具体的にどんなメンテナンスをしていったらいいか?という疑問があると思います。フォルクスワーゲンのゴルフを始めとした欧州車では走行距離に応じてきっちり消耗品を交換していくという大原則があります。距離に応じてしっかり出るので、サボれないという点では国産車より厳しく感じるかもしれません。
ですがクルマ本来の必要なメンテナンスという点では実は国産車もゴルフもそう多く変わりません。
クルマは距離を走れば似たような部分が消耗します。身近な例ではエンジンオイルがありますが、オイルは5000キロで一回は交換しますよね。そして1万キロに1回くらいはオイルフィルターも交換しましょう、ということはだいたいの人は理解していると思います。
しかしそれに加えてフォルクスワーゲンのゴルフ5のオートマモデルであれば、新車から3万キロ走行していれば1回はATF+ATFフィルターの交換はされていることが理想です。
ゴルフ5のオートマはバルブボディと呼ばれるオートマ内部の不良が起こりやすく、ATF無交換で5万キロ以上走行している中古の個体ではそう遠くないうちに滑りや振動などのトラブルに見舞われる可能性があります。
「やっぱりガイシャは故障するしめんどくさいじゃん」と思った方もいると思いますが、その問題のオートマは日本製です。近年はクルマに使用されているパーツは原産国がばらばらというのは当たり前で、日本製だろうが故障は当然あります。
なので「国産なら安全」という根拠のない思い込みは自爆のもとになりますので今から意識を変えるくらいでもいいと思います。当時はオートマ修理で50万と呼ばれた時代でしたが、今ではパーツを安く仕入れて分解整備などしてくれるようなショップがかなり増えてきたので、最悪の場合でも何とかなる時代になってきています。
また、ゴルフ5の2005年モデル以降、ゴルフ6、ゴルフ7ではDSGという、いわゆるデュアルクラッチトランスミッションと呼ばれるセミオートマに進化しています。このDSGは2008年あたりから故障トラブルが頻発し、2013年には世界的なリコールを引き起したことで知られています。
現在でもその悪評は尾を引いてはいますが、地道な改善によって今ではなくなってきたという見方もあります。DSGに関しては何とも言えない点はありますが、参考までに以下の記事をご覧ください。
ゴルフに必要な具体的なメンテナンススケジュール
そしてゴルフのメンテナンスというと国産車ユーザーが馴染みのある程度のメンテナンスではまだまだ足りなくて、走行5万キロ前後で
- イグニッションコイルorイグニッションモジュール(要確認)
- スパークプラグ
- プラグコード(イグニッションモジュールの場合は不要)
- フロントブレーキパッド(摩耗具合を見て)
- フロントブレーキパッドセンサー(ブレーキパッドと同時交換推奨)
- フロントブレーキディスク(摩耗具合を見て)
- ブローバイホース
- ヘッドカバーガスケット
- フューエルフィルター
- エアフィルター
- フロントアッパーマウント
- フロントショックアブソーバー
5万キロ毎に同時交換推奨パーツ(同時交換で工賃が節約できるメリットがあります)
- タイミングベルトキット(ゴルフ6はチェーン式で交換不要なのでゴルフ5、7のみ)
- ウォーターポンプ(ゴルフ6は8万キロ目途)
- サーモスタット(ゴルフ6は8万キロ目途)
- カムシャフトセンサー(ゴルフ6は8万キロ目途)
- クランクシャフトセンサー(ゴルフ6は8万キロ目途)
パーツの意味はとりあえず今すぐ理解できる必要はないですが、国産車でもゴルフでも実にこれだけの消耗品の交換が存在するということをまずは頭に入れておくことが大切です。
ご覧いただければ分かりますが、クルマとは消耗品のカタマリなのです。
じゃあ車は5万キロ走ったら寿命なのか?というとそうではなくて、これらのパーツをリフレッシュすることによって10万、20万キロと新車当時の性能を維持していくという価値があります。
たとえ5年おきに新車に乗り換えたとしても消耗品の交換なしでは車は走り続けることはできませんので、根本的な解決にはなりませんよね。ヨーロッパで走る車で過走行車が多いと言われる理由は、その辺をよく理解して乗っているからですね。
20万キロ走れる車ということを理解していれば、わざわざ大金をはたいて5年ごとに新車を買うなんてことはしたくないはずです。加えて7~8万キロ走行毎では、
- エアフロメーター
- フューエルポンプ
- O2センサー
- アイドル制御バルブ
くらいはだいたい交換時期となってきます。最初はパーツの意味は分からなくてもいいですが、「車って距離を走るとこんなところが寿命になるのか」ということを頭にいれていくことが大切です。
新車から7万キロ走行くらいになってきてエンジンの調子が悪くなってきたという人は非常に多いですが、だいたいブローバイガス(エンジンオイルの湯気)が汚れとして各センサー類に付着し始めるからで、アイドル制御バルブなどはその代表例ですね。
特に欧州車の場合はより高温高圧なエンジンとなるためガスが出やすいことも特徴です。定期的にスロットルチャンバーと呼ばれる個所も洗浄を確実に行うことによってアイドリングの安定性を保つことができます。ここはセルフでも実践しているオーナーさんも数多くいますので、検索してみてください。そして10万キロ走行ごとに、
- スタビライザー等ブッシュ類一式交換
- 5万キロ毎の消耗品交換
といった一連のメンテナンスサイクルがあるのです。フォルクスワーゲンのゴルフを何も知らずに「安いから」といって購入してしまうと想定外の事態に戸惑いかねない、ということもこれで理解できるはずです。
メンテナンスに関する基本スタンスはご紹介した通りですが、欧州車のメンテナンスコストをより安くするための具体的な方法について他の記事でも紹介していますのでぜひ一度ご覧ください。