フィアット・ムルティプラとはどんな車?

 

筆者の木本(きもと)です。今回はフィアットムルティプラの故障は何を想定すればいい?というテーマでお伝えしていきます。ムルティプラに興味のある方は以下の記事も参考になります。

 

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以前から当サイトの読者さんに「フィアットのムルティプラも書いてください」という声をいただいておりましたので作らせていただきました。ムルティプラの隠れファンの方は多いです。フィアットのムルティプラといえば1998年から登場した超個性的なデザインのものが有名、というのはご存知の方もいると思います。実はムルティプラという車名では1956年ですでに登場していましたので、そちらが初代となります。初代フィアット500の生みの親でもある、ダンテ・ジアコーサが手掛けていました。

 

もちろん当記事では1998年に登場した2代目ムルティプラについての解説となります。ムルティプラというのは日本語で一言で訳すと「多様」ということになりますが、まさにその名の表す通り、仕事にレジャーに使い勝手がよく、荷物も積める万能な車として本国イタリアでも知られています。ムルティプラは前のシートがなんと3席もあり、3人乗ることができるという超トリッキーな仕様。内装も超イタリアン丸出しの感じが強烈なオリジナリティを醸し出しています。前期では唯一無二の外観デザインが話題を呼びましたね。

 

出典:FIAT Multipla (2000–2004)/honestjohn

 

前期モデルに関しては、オシャレと言われるイタリア車の中でも飛びぬけて個性的で強い存在感を放っています。このクルマは何かとご縁があり、実家の近くのおしゃれな美容室の奥さんが乗っていたり、フィアットの販売の現場にいたころもメンテナンスでご入庫いただいていました。何よりムルティプラのオーナーさんは車を大切に扱う人が多かったです。車をただの移動手段としてではなく、家族の一員として思い出を共有しているという風に見えました。

 

ある親子でムルティプラに10年以上乗ってらっしゃる方がいたのですが、事故で全損となってしまった事件がありました。もう直らないムルティプラを見て、親子3人で泣いていたのを今でも覚えています。よほどムルティプラが大好きだったんだと思います。子供は純粋なもので、良いモノはスペックや理屈で判断するのではなく「直観」で見極めると言います。子供たちにとってムルティプラは家族同然だったのかもしれません。情操教育という面でも一役買っていたのかもしれませんね。あなたはそんな車に出会ったことがありますか?

 

2000年に入ってからのイタリア車は意外とボディが頑丈で、ボディがぐしゃぐしゃになるのですが追突されてもキャビン(室内)まで変形が及ばないパターンが多かったと思います。なので私が知る限りではアルファロメオ、フィアット、アバルト車の乗員が事故で亡くなったという話は聞いたことが無かったです。前述したムルティプラもそうで、広い室内空間も幸いしたのか、子供たちもケガもなく生還できたのです。上司のアルファロメオ前期型の147もケツから思いっきり追突されるという事故がありましたが、首がちょっと痛くなったのと、ボディのお尻が少しへこんだ程度で済んでいました。

 

一方で後ろから追突してきた軽自動車はフロントバンパーからぐしゃぐしゃになっていたらしく、ドライバーからは「イタリア車って頑丈なんだねえ」と言われたようです。ユーチューブなどでユーロNキャップの衝突実験を見ると分かりますが、カーテンエアバッグの有無は非常に重要です。それが初期設定で入っているという点も安全性に強い配慮があることが伺えますし、誠実な車と言えますね。他の欧州車でも同様の傾向があります。というより、今時まともなエアバッグすら標準装備でない車はイタリア人から「エアバッグすらないの?」「そんな危ないクルマ、乗れねえよ!」という感じで相手にすらされないのかもしれません。欧州車ではそのような意識が常識としてあるようです。

 

 

フィアット・ムルティプラで想定できる故障ポイントは?

出典:FIAT Multipla (2004–2010)/honestjohn

 

そしてモデルチェンジで一気に個性がなくなったと言われる後期型もあります。確かに以前のムルティプラの面影が無いように思えますが、私はむしろムルティプラに乗るならまずはこちらをお勧めしたいです。年式もまだ新しく、コンディションの良い中古車がまだ選べる状況ではないでしょうか。車は年数が経過するとどうしても各所のゴムが固くなってきて、ゴムパッキンからオイルが滲んできたりすることがありますが、後期型であればそういったリスクも最小限だと思います。

 

ムルティプラではどんなトラブルが想定できるかと言えば、電気系統全般が少し弱いです。といっても走行に支障をきたすレベルではなくて、地味なところばかりです。ここが具体的に弱いというより、接触不良でセンサーが誤作動を起こすというものですね。

 

例えばムルティプラではサイドブレーキを引いてないのに「!」マークが点灯しっぱなしになるということが良くありますが、これも接点不良のうちの一つです。ここは分解が比較的容易なので「融通が利かない」「なんでも新品交換にしちゃう」でお馴染みのディーラーでも分解して直してもらえる可能性があります。電装系以外で細かいところと言えば、リアトランクのダンパーがヘタって開閉状態を維持できないというものがあります。

 

さすがイタリア車という突っ込みが来そうですが、国産車でも普通にあるので年式の経過したクルマでは想定の範囲と思ってください。トランクのドアが開けっぱなしにできないというのは不便かもしれませんが、ふところ事情によっては我慢することも考えたいところです。

 

また、よくオイルが漏れるという話を聞くと思いますがその割に具体例がありませんよね。それに漏れるとしてどんな点を気を付けたらいいのかよく分からないものです。ムルティプラのような欧州車を維持するのであれば、まずこれまでの国産車感覚を捨てることからスタートしてください。車の点検なんて教習所以降やってない、という人であれば、まずは付属の説明書に従ってエンジンルームを開けて、どこにエンジンオイルをチェックできるゲージがあるのか探すところから始めてみるのです。

 

ユーザーがチェックできるところはだいたい説明書に書いてありますので、基本的なことから始めてください。エンジンオイルはいつ交換したか、エンジンオイルの種類は何か、粘度はいくつがいいのか?ということにこだわるより、最も大事なのは「きちんと規定量入っているか?」という事が重要です。つまり油脂類は「多すぎても少なすぎてもダメ」なんです。

 

なのでオイル漏れは人災もあります。自称プロ整備士でも輸入車のオイルレベルの見方を間違って1L多く入れすぎて、「このクルマは外車だしオイルが漏れるんだぜ」と言って車のせいにしているヤブ整備士も見てきました。そんな連中に任せるなら、あなた自身が正しい目線で自分の車のコンディションを確認するセカンドオピニオン的な見方をする、というのも重要なのです。クルマの点検でしかも輸入車のエンジンルームを見るなんてハードルが高いように感じるかもしれませんが、説明書通りにまずは見てみると免許取り立ての女子大生でも理解できる内容です。

 

クルマにとって点検とは「息を吸うような」当たり前の感覚となってきます。そのことが国産車にない感覚というものなのです。ミッションオイルなども同様で、こちらから「点検してください」と提案しないとなかなか向こうから見てくれることは少ないものです。ミッションオイルの管理だって基本のはずですが、ここをないがしろにしてミッションを故障させてしまう事例が実際にあります。

 

下回り点検も重要で、特にムルティプラくらいの年式であればドライブシャフトブーツの状態は必ずチェックすべきポイントです。パーツ代は大したことないゴムのパーツですが、破けると液漏れが発生します。それに気づけないとドライブシャフトごと故障させてしまいますので、必ず定期的に見ることが必要です。また、よく中古車屋さんで車を買う時「納車整備代」を請求してきますが、具体的に何をしてくれるのか内容もよく確認した方がいいです。

 

大抵の場合はかなり簡単なメンテナンスで、素人でもできるような内容のものが多いです。まれに「納車時にタイミングベルトを交換してお渡しします」というお店もありますが、それは良心的な方でそういったお店は少ないと思ってください。車をある程度分かってくるようになると、「その内容で10万も請求するのかよ!」という感覚が分かってきます。10万円請求するならタイベルのついでにウォーターポンプとサーモスタットも交換してもらいたいものです。

 

そしてサンルーフ付きの車であり得るトラブルとして、雨漏れがありますね。これはどうせディーラーに頼っても新品交換です、という反応は目に目えているのでよほど予算に余裕がある場合以外はあてにしないでおきましょう。探せば専門で修理をやってくれる整備工場も意外とあります。もしくはDIYで自分でやってしまうという人もいますので、どうしても安く済ませたい方であれば方法をググって自分で直しちゃうという荒業もあります。

 

ムルティプラに限らずですが、水漏れしている個体は必ず早めに修理する様にしてください。それは車内に湿気がこもって大切なコンピューターの基盤を腐らせる、などの二次災害を防ぐためです。車の故障って、こういう意外なところからくるパターンが多いのです。日ごろから日常点検をしていれば。。。早めに修理をしていれば。。。という人災を防ぐためにも、点検は基本にならってしっかりやることが大切です。

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イタリア車ならではのお約束ポイントは?

 

その他はムルティプラのお約束となりますが、ダッシュボードのベタベタ問題ですね。これは以前『アルファロメオ147を故障させない方法を解説!』でもお伝えしたゴム性塗料の劣化によるものが原因です。これは私の経験からですが、中古で出回っているムルティプラではほぼすべての個体でべたつきがありました。ディーラーや町の工場でも有料で直してくれると思いますが、DIYではアルファ147と同様の方法が通用すると思います(未確認ですが)。

 

それでもムルティプラの場合はダッシュボードが広くてパーツも細かいので、アルファより苦労すると思います。この点に関してはムルティプラ購入時に販売店と交渉するという手があります。例えば「ボディはすごくきれいなんだけど、内装のべたつきさえきれいになればなあ」とか、そういった言い方をすれば、セールスの方から「じゃあべたつきをきれいにさせていただきますので、それで契約いただけますか?」という嬉しい提案を引き出すという手もあります。

 

あとは90年代の欧州車に見られる傾向として、サイドブレーキの凍結問題があります。こればかりは国産車ではあまり起こらないのですが、直接の原因としては、サイドブレーキワイヤーの根元のゴムブーツが劣化して、そこから水分が侵入して凍結させてしまうというものです。それでなぜムルティプラではそれが起こるかというと、そもそも本国ではサイドブレーキを引く習慣があまりないから、ということなんだと思います。なのでサイドブレーキに使用するパーツ自体、そこまで力を入れてないのかなと思います(2000年以降の欧州車では大丈夫だと思います)。

 

サイドブレーキを引かない理由はというと、欧州ではぎゅうぎゅうに縦列駐車をするのが常識だからです。ぎゅうぎゅうの中にさらに縦列で割り込もうとする車が後を絶たないので、前後の車を手で押して、どかして自分の車を駐車するという事も珍しくないようです。車をサイドブレーキ引きっぱなしで置いておくとたちの悪いいたずらに会ってしまうことから、サイドブレーキを引かなくなったのだとか。。。

 

サイドブレーキが凍結するとお湯をかけて溶かさなくてはならないという信じられない手間がかかってしまうので、ゴムブーツが劣化していないかどうか下回り点検はやった方が良さそうです。サイドブレーキのワイヤーも新品で入れ替えれば凍結することもないので、そちらも要検討箇所となりそうです。フィアット・ムルティプラに関してはこんなところかと思いますが、他にも大切な「消耗品の交換メンテナンス」について知る必要があります。そちらに関しては『フィアットは故障する?車種別まとめ!』にて解説しておりますので、一度ご覧いただくことをお勧めいたします。

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フィアット・ムルティプラは最初の欧州車として選んでもいい?

 

これまで国産車しか維持したことのない方で、最初の欧州車としてムルティプラに乗ることを検討されている方もいると思います。個人的には後期型であればハードルはそこまで高くないかな?と思います。お金に余裕のある方であれば工場に任せっきりでもいいのかもしれませんが、ときには自分である程度調べてメンテナンスしてみるという勇気もあった方が圧倒的に節約できますし、愛着の湧き方も異なります。

 

クルマのことなんて分からないというハードルは私もよく分かりますが、今は分からないことがあればネットで検索して何でも知ることができる時代になっています。難易度としては、プラモを組み立てられるくらいの腕の器用さがあれば全体の5割くらいは自分で出来てしまうものです。欧州車はそもそもDIYである程度できる設計となっています。とりあえず自分でやってみて、どうしてもできないところはプロに任せるというのが本国流です。あとプロの整備士さんと異なる点としては、工具の有無くらいなものです。

 

いずれにしても国産車を維持する感覚では車屋さんの言い値になってしまうので損することの方が多いかもしれません。また、同じ欧州車でもエンジン特性やメンテナンスなど、ドイツやイタリアでは異なってきます。イタリア車の場合はドイツ車よりトリッキーで「カスタマイズそのものを楽しむ」要素が強くなりますが、ドイツ車はどのメーカーも真面目路線という感じで、吊るし(ノーマル)ですでに高性能で、割と手のかからない車も多いです。

 

そういった人とお国柄の相性とかもあると思いますが、ムルティプラ自体は車格がDセグメント(国産車で言うとマークXなどの乗用車クラス)なので維持費も一般的な乗用車ベースというイメージです。あくまで目安ですが、本国でもそもそも高級車というくくりではないので、一度選んでみてもいいクルマだと思います。

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