アルファロメオミトはどこが故障する?新車編
アルファロメオミトはどこが故障するのか?ということでお伝えしていきます。前半は新車編、後半ではアルファロメオミトの中古車編をお送りします。アルファロメオのミトに興味のある方は以下の記事も参考になります。
アルファロメオ車は長く乗れないのか?
最新アルファロメオのエンジンやトランスミッションの故障は?
アルファロメオ車を維持していくための意外なコツとは?
アルファロメオ車の故障とメンテナンスについてかなり学べます。
アルファロメオミトは新車販売が始まってからけっこう経ちます。ミトは2017年になってマイナーチェンジが行われました。
出典: 2017 Alfa Romeo Mito/motorshow.me
アルファロメオは今後、1000万円クラスの高級志向になっていくとメーカーも公言しています。それにのっとったより高級なデザインに刷新されましたがミトのエレガントだけど人懐っこいイメージを崩すこともなく生まれ変わりました。さすがアルファロメオという印象です。故障に関して言えば普通に日常の足として活躍してくれるクオリティだと思います。「イタ車は故障してレッカー搬送」というのも20年前の話です。
アルファロメオミトのマルチエアエンジンの故障
アルファロメオミトのエンジンはさりげなく凄い技術が採用されていますが宣伝が弱くてあまり表に出てくることがありません。マルチエアエンジンと言われるものなのですがこれはフィアット社が開発期間にして10年、1億ドルもの費用を投資して開発された夢のエンジンとも言われています。「吸気バルブとよばれるものを油圧制御することによってポンピングロスの低減に成功」という、エンジニア的にはすごいことをやってのけているらしいのですが私たちユーザーからすれば少し分かりにくい世界です。一つ言えることは、そういった新しい技術を採用するうえでは常に何らかの故障のリスクが伴うものです。
ホンダだけではありませんが、国産メーカーはリコールを連発しているイメージが個人的にあります。それはまだ実績のない新技術を市販車に採用しまくっているからだと思います。メーカーは常に新しい技術を作って消費者の目を引かなくてはいけない使命を感じているかもしれません。ですがその一方で、トラブルが起きたらリコールで対処すればいい、という姿勢も見える気がします。それは正しいのかもしれませんが、ファンの気持ちは置き去りになっていないでしょうか。
アルファロメオミトのエンジンで気を付けるべき点は?
世界の自動車界でもアルファロメオのマルチエアエンジンは非常に健闘していると思います。これまで致命的なトラブルもなく、流行りのダウンサイジングエンジンの中でもメーカーの色を出すことに成功していると思います。私は実際の販売現場で働いていましたが、アルファロメオミトのエンジントラブルはほぼなかったと思います。あえて挙げるとすれば、「カブり」が出やすいことです。これはたまにしか動かさないクルマにごくまれに起こる現象です。症状は簡単に言うと、エンジンのかかりが悪くなってしまうというものです。
対処はディーラーでも無償でやってくれる程度の簡単な作業で直ります(お店によると思いますが)。そうならないための対策としてはロングドライブもしてあげる事が大切です。ちょっと多めにアクセルを踏んであげるのがエンジンが元気になる秘訣です。アルファロメオミトのエンジンは車庫の中に入れっぱなしだとなまってしまうエンジンと覚えておいていいと思います。それさえ気を付ければとても快調な車です。
アルファロメオらしいマイナートラブルについて
アルファロメオミトのエンジンに続いてその他のマイナートラブルになります。ミトに限ったことではないのですが、これはアルファロメオジュリエッタでも起こりえます。私が営業として働いていたころ納車して2年くらいのジュリエッタのオーナー様から「外気温が50℃になっている」と連絡がありました。「最近は温暖化で暑いですからね」と言ってお客さんも笑ってました。ひとまず車を見させてもらうことになったのですが、原因はミラーの下にくっついている外気温センサーの不具合でした。いかにもイタリア車らしいコントのようなトラブルでしたが、保証で無償で直すことができて一安心でした。ミトでも1件ほどありましたので、あなたにも起こらないとは言えません。ほぼ、起こらないけど「そういうトラブルもある」というのを頭の片隅に入れておいてもいいと思います。
アルファロメオミトの「アルファTCT」は故障するのか?
アルファロメオミトにはフィアット製のツインクラッチトランスミッションである「アルファTCT」が搭載されています。アルファTCTの特徴はなんといっても「走りの2面性」だと思います。ノーマルモードではアルファロメオとは思えぬジェントルなフィーリングになるので、あっけにとられるのです。ですがひとたび「Dモード」をセレクトすると多少のシフトショックさえ許容する暴力的な加速フィールとなります。これはアルファロメオの従来のセレスピードにはなかなかできなかったソフトウェアの制御による賜物だと思います。
こちらは従来のアルファロメオのセレスピードのように、油圧ポンプでシフトフォークをダイレクトに動かすような仕組みではありません。セレスピードでは油圧ポンプである「セレポンプ」に一定の負荷がかかるため、定期的に交換する必要があるということをお伝えしたことがあります。ですがアルファTCTの場合、構造上油圧ポンプへの負荷が少ないため通常使用であればメンテナンスフリーで乗ることができます。
参考:セレスピード故障を防ぐ方法!アルファロメオとの付き合い方
アルファTCTの場合は単にMTの進化版ということではなく、より機械的になり、トルコンATに近い存在へと変貌しました。そのおかげもありトラブルの事例も聞かなくなりましたのでそう神経質になる必要はないと思います。ただし使用条件によっては以下のようなトラブルに見回れる可能性が否定できません。
アルファTCTの運転の注意点
これは私が現場にいたころにアルファロメオジュリエッタで起こった実際の例です。ジュリエッタも同じアルファTCTを搭載しています。Aさんというジュリエッタのオーナー様がいたのですが、「エンジンから煙が出ている」という連絡がありました。煙の原因はアルファTCTのオーバーヒートでした。それにも関わらず結果的にミッション交換には至らなかったことが幸いでした。その日Aさんは都内の音楽フェスに向かう途中だったようです。状況としては、
- 首都高速
- 9月の猛暑
- 2時間を超える週末渋滞
というクルマにとっては過酷な環境でした。そのような状況もあってかブレーキを離す→クリープで進む→すぐブレーキを踏んで止まる、という燃費もストレスも最悪な状態でのドライブでした。実はアルファTCTにとってはあまりよくない状況だったのです。それはアルファTCTのクリープ現象に秘密がありました。アルファTCTのクリープ現象は厳密に言うと「半クラッチ」状態なのです。それが2時間を超える渋滞となるとクラッチに過大な負荷がかかります。
猛暑ということもあってかクラッチが過熱してしまい、煙が上がったことが原因です。これは私が知る限り全国でも2件ほどということで、ほぼ起こる心配はない確率ではあります。しかし例外的にこのようなトラブルに合う可能性があるということも知っておいて損はないと思います。私の結論としては気を付けなくてはいけないポイントはありますが、アルファロメオミトは非常に完成度が高いクルマです。
アルファロメオミトを故障させないメンテナンスは?中古車編
ミトは新車であれば、車が新しいのでメンテナンスもしばらくはオイル交換程度で済みます。ですが長期的にミトを愛車として乗っていくにはトラブルが心配ということもあると思います。『アルファロメオ147を故障させない方法を解説!』でもお伝えしていますが、アルファロメオミトをはじめとする車検のない国で生まれた欧州車には国産車の常識が通用しないメンテナンスの大原則があります。原則に従ったメンテナンスを行えば長い目で見ても安心してミトに乗り続けることができます。アルファロメオミトをはじめとする欧州車ではメンテナンスの大原則というものがあります。メンテナンスとは実際は「消耗品の交換」を意味します。実はこれこそが大変重要なポイントなのです。具体的にミトはどんな部品交換が必要なのでしょうか?以下に具体例を書いてみます。
5万キロ毎の消耗品
- スパークプラグ
- イグニッションモジュール
- タイミングベルトキット
- ウォーターポンプ
- サーモスタット
- ブレーキパッド
- ブレーキパッドセンサー(ブレーキパッドと一緒に交換)
- ブレーキディスク
- ブローバイホース
- ヘッドカバーガスケット
- フューエルフィルター
- エアフィルター
- クランクシャフトセンサー
- カムシャフトセンサー
- アッパーマウント
- フロントショックアブソーバー
7~8万キロ毎の消耗品
- エアフロメーター
- フューエルポンプ
- O2センサー
- アイドル制御バルブ
上記のパーツをまじめに交換していればまず大きな故障という故障は起こらないはずです。それに加えてミトの場合、3万キロ毎を目安にアルファTCTの専用オイルを交換した方がいいです。中古のアルファミトを買う場合は走行距離が5万キロ前後の個体であれば上記の消耗品交換がだいたい当てはまるというふうに思ってください。そしてこれらの交換をサボってしまった人たちが真っ先に故障だと騒いでしまうことになるのです。
でもそれはやるべきメンテナンスをしてこなかったことが原因であって、私は「人災」であると思います。実は国産車でも同クラスの車では近いメンテナンスは普通に行われています。5万キロといえば車検で言うと5年目くらいですよね?最初の車検はそれほどでもなかったのに5年目から一気に高くなったという経験を持つ人は多いはずです。それは上記の消耗品が一気に寿命を迎えるためです。
アルファロメオ・ミトを故障させずより安く維持していくヒント
5万キロごととはいえ一気に消耗部品を交換するのは費用としても気が引けてしまいますよね?そしてそれが車検ともなれば大変な出費になってしまうでしょう。かといってさぼれば故障の原因になってしまうかもしれない。そういった悩みは誰しもがもっています。輸入車は車検代が高いからという理由で購入まで踏み切れない人が多いです。ですが私は高額な車検代や故障に対する恐怖は、正しい知恵と工夫があればなんとでもなるということを身をもって体験してきました。
上記には5万キロごとに交換すべき消耗品を明記しましたが、これらはだいたい5年目以降の車検時に一括請求される部品が大半を占めています。実は一括請求される部品の中には車検とは全く関係のない部品も含まれていることも珍しくありません。その基準はブレーキなどの保安部品かどうかです。保安部品というのは車検に通るか通らないかに関わる部品のことです。上記の表だと、
- ブレーキパッド
- ブレーキパッドセンサー
- ブレーキディスク
などが当てはまります。これらは交換が必要と分かれば車検までに交換しておかなくていけないパーツです。ようはブレーキが十分に効かない車は公道を走ったら危ないでしょ?という事です。ですがそれ以外の部品は交換をサボっても燃費が悪くなるか、乗心地が悪くなったり最悪エンジンがかからなくなるだけなので直接安全に関わるようなパーツはないです。つまり車検の時に一気に交換する必要がないのです。そうと分かればお金に余裕があるときに少しづつ交換したり、調整が効くと思いませんか?
重要なのはミトは何万キロ走ったらどんな部品が寿命になるのか販売店から言われる前に知っておくことです。そしてそれをしっかり管理することによって、車検代や消耗品交換の負担を軽減することができます。私はアルファロメオ155に乗っていますが、今月は○○を交換しておこう、来月は○○に予算を割いて交換しよう、というように分割してメンテナンスするようにしています。そうすると車検の見積もりが嘘のような安さで上がるのです。私のアルファ155は20年落ちのイタリア車ですが、このままいけば車検代は10万円前後で収まる予定です。うまくやれば、国産コンパクトカーより安く収めることができるようになるはずです。同時に故障も防ぐことができて一石二鳥です。
中古のミトは乗り出しと同時に消耗品交換を行う
中古車を買う上で基本となる「故障しない販売店の見分け方」についても知っていただきたいので、詳しくは『アルファロメオブレラを故障させないための購入術!』をまずはご覧ください。アルファミトを中古で買う場合、上記の消耗品の交換を前提で考えることをお勧めします。1~2万キロ走行くらいなら交換は先送りでいいと思います。ですが私のお勧めは5万キロ前後のアルファミトを狙って上記の部品を交換して乗り出すというものです。
最初はまとまった金額が必要になりますが、乗り出してからの故障リスクや安心感がまるで違います。何よりパーツをリフレッシュして乗るということは新車同等の性能がよみがえるということでもあります。まずは騙されたと思って試乗しに行ってみることをお勧めします。後悔の無いクルマ選びになることを祈っています。