アルファロメオのツインスパークエンジンとは?
アルファロメオ伝統のツインスパークエンジンについて解説します。アルファロメオ車のツインスパーク搭載車は以下になります。
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アルファロメオのツインスパークエンジンは、1987年にアルファロメオ伝統の「アルファツインカム」がツインスパーク化を受けて誕生しました。英語ではTwinSparkと書いて、略してTSとも言います。アルファロメオのアルミ製DOHCエンジンを特に「アルファツインカム」と特別視されるのは、市販車なのにレーシングカーのようなエンジンを積んでしまったことから来ています。アルファロメオは50年以上も前から攻めた車を作るメーカーだったんですね。
ツインスパークについて簡単に説明すると、普通のエンジンであれば一気筒あたり点火プラグは一本です。ツインスパークの場合は一気筒あたり2本の点火プラグを配置しています。そうすることによって内部のガソリンに火炎が行きわたりやすくしています。アルファロメオのツインスパークの場合は、これにホンダのVTECと同じ可変バルブタイミング機構を加えています。それによって高回転時にパワーが伸びやすい設計となっているのが特徴です。私は縁があって、
- 1995年式のアルファ155
- 2005年式のアルファ147
上記の2台のツインスパークエンジンのアルファロメオを所有してきました。この2台のツインスパークは、実は全く違う運転フィールを持っています。おおまかに言うとそれがどんな感じなのかをお伝えしていきます。そのあとにメンテナンスや故障トラブルなどについても触れていきたいと思います。
ツインスパークの加速はどんな感じ?
正直言って、ツインスパークに乗っていて「高性能」だとあまり感じたことはありません。たぶん、スタートダッシュなら軽自動車の方が早いかもしれません。でも加速フィールに関しては不思議と「はやい」と感じさせるものがあります。乗ってる本人が早く感じるのですが、実際それほどスピードは出ていないということがあります。アルファ155の古いツインスパークの方は実際遅いです。
スタートで頑張って加速しても回転数が上がっていくだけでスピードが付いていかない。音ほどスピードは出ていません。アルファ147の新しいツインスパークエンジンでは多少パワーは上がり、2車線道路でもそこそこの追い越し性能があります。それでも高性能とは感じません。基本的な加速感は一緒でしょう。おそらく直線の加速力では単純に馬力の高い国産スポーツカーに軍配が上がるでしょう。
ツインスパークのエンジン音はどんな感じ?アルファ147の場合
ツインスパークのエンジン音についてですが、純血ツインスパーク(アルファ155)とフィアット混血のツインスパーク(アルファ147)ではまるで異なります。アルファ147のフィアット混血のツインスパークでは、低回転域ではあおるとビュン!ビュン!というような乾いた高音系の音になります。
出典:アルファ・ロメオのタイミングベルト交換とバルブタイミング①/san-ai
アイドリングしているだけでもヒューヒュー独特の音がしていますが、おそらくこんな音がするのはこのエンジンとアルファGTとアルファ156のJTSエンジンくらいでしょう。それが街乗りでも普通に聞こえてきますので非常に耳に心地よい。最近はむやみにエンジン音をシャットアウトしているクルマが多いですが、これは前に私が所有していたオペル・アストラと同じ「聴かせるエンジン音」でしょう。
そしてひとたびレッドゾーンまで踏み込むと荒々しく、エンジンの倍音が増して高音に重低音が交差して響きあい、それは爽快な加速フィールです。そしてセレスピードのパドルで3速から2速にシフトダウンがきまると、ビュン!!!と回転数が上がり、それはもう普通乗用車とは思えない刺激を味わえます。走るたびに脳内アドレナリンが分泌される感じがたまらなく楽しいです。ツインスパークのエンジン音の音色が変わる様を、往年のアルファロメオファンはオーケストラコンサートのようとも言われます。
本国ではフェラーリのエンジン音をあまりにも美しい音色と例えて「カンツォーネ(歌声)」に例えています。これがまさにイタリア車のエンジン音が最高と言われるゆえんです。後部座席の弟は「このクルマはレーシングカー?」という風に言っていましたので、客観的に見てもかなりレーシーな音に聞こえるようです。私のアルファ147は途中でステンレス製のセンターパイプを装着したのですが、そのせいで甘美なエンジンフィールはうるさいマフラー音で損なわれてしまいました。これからアルファ147を検討される方は、マフラーを変えるならリアピースのみがお勧めです。
ツインスパークのエンジン音はどんな感じ?アルファ155の場合
一方、アルファ155の古いツインスパークではとにかくドスが効いた感じの低音です。人によっては古めかしいとか、懐かしいと感じる人もいるようです。新生アルファ147のツインスパークを近代的レーシングカーとすれば、アルファ155のエンジン音は「ローマの休日」の劇中で優雅に走っていそうな、クラシックカーのような感じです。それもそのはず、エンジンの基本設計はとても古く、今から50年以上も前の形式にこだわって設計されています。
なのでアルファ155のエンジンはいわば「クラシック」のフィーリングをそのまま持っていると言っていいです。私のような若造は古き良き時代というものを知らないので、懐かしいという感じは残念ながらありません。ですが、この155の良さはエンジンをかけた瞬間からなんとなく分かります。エンジンによる振動もそうですが、「地の音」が現代の直列4気筒エンジンにはない音です。
発進時にアクセルを煽ってみるとブン!と吹けあがり、グロロロロ…とうねりをあげて加速しきます。そしてレッドゾーンまで引っ張るとガロロロロロン!!!と爆発音に近い豪快な音が運転席に響いてきます。車に興味の無い人にとっては雑音でしかないかもしれませんね。ただ運転している僕からすると、「これが昔のレーシングカーか。。。」という、歴史について深みにハマるという感じになります。私が155で街を走っているところを友人が見かけたらしいのですが、まるでタイムスリップしているようだと言われました。
ツインスパークの故障やトラブルは?
ツインスパークエンジンは特に複雑な機構はなく、ここが弱いというところがありません。基本設計がしっかりしているので意外とタフなエンジンです。私はかなり長い間ツインスパークエンジンしか乗っていませんが、今のところエンジントラブルはありません。でもそれはしっかりやるべきタイミングで必要なメンテナンスを実施してきたからこそだと思っています。エンジンオイル交換はもちろんのこと、特にアルファ147の新しいツインスパークでは、5万キロごとにタイミングベルトキットとウォーターポンプの交換は必須です。
加えてサーモスタットや点火系パーツなどの細かい消耗品など交換していくことによって、だいぶ長く乗ることができるでしょう。このメンテナンスはアルファロメオに限らず、一部の車種を除いてフォルクスワーゲン、アウディ、BMWミニなど日本でも有名な輸入車メーカーのクルマでも必要です。それを知らずにエンジンを壊してしまう人がいるので、外車は壊れるんだということを言い始める人がいます。ですがそれは必要なメンテナンスを怠った、いわば人災ではないでしょうか。
ツインスパークに必要なメンテナンスは?
元々丈夫なエンジンなのでそこまで神経質なメンテナンスは基本的に必要ありませんが、ツインスパークなのでスパークプラグが8本必要というところが特殊です。それ以外は一般的なDセグメント(本国では大衆車グレートを指す)の欧州車と同様のメンテナンスになりますので、そこまで高額な費用は掛かりません。なのでアルファ147の場合、
- タイミングベルトキット・ウォーターポンプ・サーモスタット 5万キロ交換
- スパークプラグ8本 5万キロ交換
- エンジンオイル交換 5千キロ交換
- ヘッドカバーガスケット 5万キロ交換
を基本にやっていけば基本トラブルは心配ないと思います。見て分かると思いますが、消耗品は5万キロごとに集中しています。これを一気にやると結構な金額がかかってしまいそうですよね。なので、費用を少しでも抑えるコツは、
- 整備工場で3社ほど交換費用の見積もりを取ってもらう
- 部品をディーラー以外で見積もりし、調達する
- 交換するタイミングをずらして計画的に交換していく
など、工夫次第でいくらでも安く抑えることができます。ちなみにアルファ155の場合はタイミングチェーンを採用しています。チェーンの場合、基本的にオイル交換とスパークプラグを交換していればオッケーですので、割と安く維持できます。
どっちのツインスパークエンジンがお勧め?
2種類のアルファロメオのツインスパークについてお伝えしてきました。どちらも非常に個性的で、現代のクルマにはない魅力があふれるものですね。どれが一番という基準はありませんが、私のような若年層世代にはアルファ147のエンジンの方が合うかもしれません。私のアルファ155はエンジンの地の音がすごいことに加えて、マフラーもワンオフのステンレスになっていますので音量がデカいです。
低回転のパワーが弱いことも相まってアクセルを煽ると音が響いてしまいます。ノーマルマフラーに変更するという選択肢もありますが、アルファ155の純正マフラーは腐りやすいことで有名ですので、交換してもすぐ穴が空いてしまいます。そうなると車検が通らなくなってしまいます。これからツインスパークを購入検討される方は、まずはアルファ147から検討されることをお勧めします。