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フィアット500ツインエアの故障はどうなのか?

フィアット500ツインエアの故障はどうなのか?

フィアット500ツインエアの故障はどうなのか?というテーマでお伝えしていきます。フィアットのツインエアにご興味のある方は以下の記事も参考になります。

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すでにフィアットのツインエアについてご存知の方もいるかもしれませんが、改めておさらいしてみましょう。

「ツインエア」とは、すでに4気筒に採用されている電子制御油圧式の吸気バルブコントロールシステム「マルチエア」テクノロジーを採用した「ツイン」=2気筒エンジンという意味で、従来のスロットルバルブの代わりにインテークバルブを開閉することで吸気量を直接コントロールするマルチエアの採用も先進的ではあるが、最も画期的なのは2気筒を採用したことにある。

出典:フィアット500ツインエア 2気筒エンジンの実力/carview

現在普及している自動車では4気筒エンジンというものが主流です。この気筒数が3気筒のものでは軽自動車くらいのエンジンになります。ですがツインエアエンジンはさらに小さい、2気筒というところが最大の特徴ではないでしょうか。さすがにそこまで小さいエンジンだと、

  • 振動が大きい
  • パワーが弱い

などのデメリットがありそうです。ですがフィアット社はそんなデメリット対策として

  1. バランサーシャフトを導入し気になる振動を抑え込んだ
  2. ターボで足りないパワーを補った

というところまでやっています。それによってフィアットのツインエアエンジンは、

  • 最近の軽自動車に肉薄する実燃費の良さ
  • リッターカークラスのパワー
  • イタリア車特有の細マッチョなトルク感
  • クラシックなエンジン音

を実現している、車好きにとっても家計を気にする世の奥様方にとっても夢のようなエンジンです。私の母は近所の買い物などで使用することが多いですが、実燃費はリッター15~18くらいにはなります。高速だと20は軽く超えてきます。

高速走行では同クラスの日本車では70~80キロくらいからのスピードの伸びが苦しいところですが、ツインエアを搭載したフィアット500は、900cc弱とは思えない踏めば踏むほどぐいぐい加速していきます。ストップ&ゴーが多いと言われる日本の道路事情においても、軽い車重と太いトルク(出足のパワー)のおかげでアクセルをそれほど踏まずとも加速していきます。

アクセルをそれほど踏み込まないということは燃費にも貢献することになります。また「エンジン音にこだわってます」的な自動車メーカーは結構多いのですが、ツインエアの場合は地の音から現代のエンジンとはかけ離れています。古めかしい、人によっては懐かしいという表現をする人もいます。なので普通に街中を流していても面白いと感じるクルマです。さらにデュアロジックというセミオートマのミッションとの組み合わせでエフワンドライバーみたいな運転もできてしまいますので、さらに楽しい痛快なドライブが体験できます。

一方で、その特殊な感じから「ツインエアエンジンは故障しないのか?」という疑問を抱く方もいるかもしれません。私はフィアットの正規ディーラーの販売の現場でも働いていた経験がありましたが、率直に言うと「心配は無用」だと思います。

これはイタリア車だから心配だというわけではないですが、どんな車でも購入する場合は製造の過程が原因とされる「初期トラブル」はゼロではない、ということは覚えておいた方がいいです。現在、フィアット500の輸入元のFCAジャパンでは新車無料保証が3年(最大5年)と10万キロ付帯が当たり前となってきているので、仮に保証期間内で故障があったとしても実害はありません。

しかしツインエアエンジンに限った話ではありませんが、「メンテナンスフリーということではない」ということもしっかり把握しておかなくてはなりません。完全に個人の見解になりますが、ツインエアエンジンに限らずメンテナンスをディーラーに完全に任せっぱなしは不安要素が大きいです。

ディーラー整備士は「故障したら直す」というスタンス

私は2016年9月までイタリア車をメインに販売の現場にいました。そこでは数多くの歴代フィアット車やアルファロメオ車のメンテナンス事情にも触れてきました。整備士の数は3~4名と決して多くはなかったものの、中には10年を超えるベテランの方もいました。私はその方からも実車に触れつつ色々教えてもらっていました。あるとき走行8万キロのフィアット500のツインエアが「エンジン異音」で入庫してきました。エンジンをスタートさせるとヒュルルル…という音がしていました。

整備士さんたちは「なんだろうなあ」という感じでしたが、調べていくとウォーターポンプという部品から音が出ていることが分かりました。ウォーターポンプはエンジンを冷やすための冷却水を循環させる大切な部品です。この部品は冷却水が常に触れているため劣化が進行する宿命にあります。なので定期交換が大前提の部品なはずです。

私は内心「走行距離が8万キロであれば最初からウォーターポンプの交換を疑うべきなのでは?」と疑問に思っていました。なぜなら、欧州車では車格によっても異なりますがだいたい7~8万キロでウォータポンプは交換時期というセオリーがあるからです。私がこれまで乗ってきたオペル・アストラクーペやアルファ147、アルファ155でもそれは変わりませんでした。走行距離がだいたい6万キロを超えてくるあたりで交換を検討する時期となります。

アルファ147の場合はタイミングベルトキットという部品と一緒に交換すると工賃が節約できるので、ウォーターポンプも5万キロくらいで同時交換してしまうのがセオリーです。そういった知識が私にはあったので、整備士の方に「フィアット500の場合、ウォーターポンプの交換時期はいつですか?」と尋ねると「壊れたら交換するんだよ」という驚きの回答が返ってきました。

お客さんがメンテナンスについて知らない点があるということは自然なことです。ですがその道10年以上の一見ベテランの整備士さんでも知らないというのですから、誰の話を信じればいいのか分からなくなります。加えてウォーターポンプと同時期にサーモスタットという部品も寿命を迎えるのがセオリ―です。フィアット500の場合、ネット検索しても実例がチラホラ出てくることからも放置しておくとだいたい8万キロくらいで「冷却水漏れ」が起こります。

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整備士はベテランなら腕がいいというウソ

漏れると分かっているならばなぜ交換を勧めないのか?ウォーターポンプの交換の際は冷却水を抜くのですが、サーモスタットも同じです。なので冷却水を抜く作業では同時交換したほうが工賃も冷却水も節約できるはずです。ですが今回はウォーターポンプだけが劣化したということで「ウォーターポンプだけ」交換してお返ししていました。そこで私は内心「サーモスタットも冷却水が漏れるまで交換しないのか?」と疑問に思っていました。

冷却水漏れはオーバーヒートを引きおこすので危険なはずです。それでも「故障したら直す」というスタンスなのです。私がお客さんなら、不親切な対応だと思います。その背景としては整備士さんも仕事がしんどいんだと思います。私たちが思っているほど自動車整備士さんはみんながみんなクルマ好きではないということと、生活のために働いているということです。なのでメンテナンスについて提案した方がいいと分かっていても「どうせ給料は変わらないから」とか「頑張ったところで」という惰性的な気持ちで働いている整備士さんもいると思います。なのでお客さんには「故障したら向こうから連絡来るだろう」くらいの気持ちでいるのかもしれません。それは一部の整備士さんだけであってほしいと思います。

それさえきちんとメンテナンスしていればトラブルフリーな良いエンジンだと思いますが、デイーラーの成長なくして評判は良くなることはないと思います。このようにディーラー整備なら心配はないという常識も疑わしい、というのが私個人の見解です。フィアット500のツインエアモデルの検討では、ディーラーに振り回されて故障させてしまったということが無いように、事前に予備知識を取り入れることをお勧めします。次項では私個人がお勧めするツインエアエンジンの故障を予防するメンテナンスについてお話をさせていただきます。

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ツインエアエンジンの故障リスクを軽減するメンテナンス

基本的にどんなエンジンでもタイミングベルトキットという部品は消耗するので定期交換が前提です。しかしフィアットのツインエアの場合はタイミングチェーンという金属製部品を採用しているので基本的に交換不要になります。ところがフィアット500の1.2リットルのエンジンはタイミングベルト仕様となっているので5万キロに1回の交換が必要になります。

車両価格は1.2リットルの方が安いのでついついそちらに目がいってしまいますが、実はランニングコストはツインエアの方が安上がりになります。実はブレーキパッドの減りもツインエアの方が長持ちします。それでも1.2リッターエンジンも伝統のファイアエンジンなので信頼性も高く、街乗りも高速走行も得意で実燃費もヘタな国産車よりイイです。私は好みで選ぶ範疇だとは思います。

そしてツインエアエンジンはタイミングチェーン仕様だからメンテナンスフリー、と言いたいところですが定期的にチェーンの張り具合は点検してもらったほうがいいです。車検ごとにチェックするくらいでもいいと思います。ずぼらな工場ではタイミングチェーンは交換不要=点検不要と勘違いしてやらないところもありますが、そういうところは信用してはダメです。オイル交換はメーカー指定だと1万キロごと、とは言っていますが私の母のフィアット500ツインエアを見る限りでは5千キロ、もしくは半年で早い方で交換した方がいいです。母の500は年間走行距離が5千キロなので、オイルは1年点検ごとの交換でいいかな?という感じでいました。

でもいざ1年点検の際オイルの状態とニオイを見ると「劣化した廃油」に近い感じになっていました。この違いは現場の整備士さんよりその車に乗っているオーナーさんの方が違いに気づきやすいと思います。こんなことがあってもディーラーの整備士さんは「オイルは1万キロごとでいいよ」とのんきなことを言っていますから。そこから新品の純正オイルとフィルターを投入して試走してみると明らかにエンジンフィールが軽やかになりました。そういった点からメーカーが指定するよりはるかにオイルの劣化と汚れが蓄積しやすいのでは?と見立てて、5千キロもしくは半年に1回がイイ、という結論に至りました。また、前述したとおり

  • ウォーターポンプ
  • サーモスタット

の交換は7万キロ走行を目安に交換検討したいところです。これらの部品はエンジンオーバーヒートに関わる大切な部品になりますので、サボらずにやっていきたいところです。もしくは7万キロに差し掛かる前に「エンジンスタート時からヒュルヒュル音がする」そしくは「水漏れが起こる」などの予兆が起こることもありますので、その際は時を待たずに交換したほうが得策です。その際はケチらずにウォータポンプとサーモスタットはセットで交換してもらった方がいいと思います。これは余談になりますが、ツインエアエンジン全車種にアイドリングストップ機構が備わっています。これが稀に不調を起こすことがありますが、たいていは「アイドリングストップコンピューター」が原因です。コンピューター系は理解が難しそうと思われがちですが、

バッテリー、プラス端子と一緒にくっついている小さいやつです。コンピューターといってもこんなチョロいところにあるの?という感じです。新車で乗り出してなんか調子悪いなあと思ったら、早めに相談して交換してもらった方がいいかもしれません。もっとも国産メーカーでも怪しい個体はいくらでもあることからアイドリングストップ機能はまだまだ過渡期という見方をしています。その他スパークプラグの交換などがありますがこれはディーラーの指示通り3万~5万キロ毎の交換で十分です。基本的にはこんなところを気を付けていれば、ツインエアは選んでみてもいいと思います。

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