BMWのX3は故障すると言われて諦めているあなたへ
BMWのX3は故障すると言われて諦めているあなたへというテーマでお伝えしていきます。この記事ではX3の、
2004年以降のE83
出典:BMW X3 (2004–2010)/honestjohn
2011年以降のF25
出典:BMW-X3-F25-Exterieur-23/bmwblog
上記の両モデルについて解説しています。また、BMWのX3に興味がある人は以下の記事も参考になります。
BMWの車種別まとめ完全版
BMWはなぜ故障が多いと言われるのか?
BMWのメンテナンス費を少しでも抑えるための方法とは?
BMWの部品をディーラー以外で安く調達するには?
古いBMWは狙っても大丈夫なのか?
BMWは国産車と同じ感覚で乗れるのか?
BMWのX3は2004年に日本へ導入されました。基本的な構造はセダンのBMWの3シリーズ(E46)と共有しています。3シリーズセダンをSUV化したモデルと見ていいと思います。こちらのX3の故障についてですが、こんな前向きなニュースがあります。
「BMW X3」が本国ドイツで2009年のイエローエンジェル賞を受賞したというニュースが届いた。ロードサービスを受ける機会が最も少なく、高い信頼性を備えるクルマに贈られる賞である。しかもBMW X3の受賞は2年連続だという。
日本ではおなじみのロードサービスのJAFですが、ドイツではイエローエンジェルという組織があります。つまりBMWのX3はイエローエンジェルによって「故障が少なく信頼性が高いクルマ」として認められた実績があるのです。近年のBMWは故障が少ないという評判も耳にしたことがあるかもしれませんが、まさにX3が登場した世代を中心に格段に信頼性は向上してきていることが分かります。さらに米国道路安全保険協会(IIHS)による衝突テストで、X3の2008年以降のモデルであれば追突安全性がGOODの評価を獲得しています。そのことからもBMWが品質と安全性を追求してきていることが分かります。
BMWは国産車より故障しやすいのか
しかしBMWに乗るためには理解しなくてはいけないこともあります。それは国産車とドイツ車を同じ感覚で維持してはいけないということです。よく考えてみれば埼玉県で製造されているホンダ車と、アメリカやヨーロッパのオーストリアなどで製造されているX3が全く同じなはずがないのです。ではBMWは具体的に何がそんなに国産車と異なるのでしょうか。
個人的に私は国産車を『働くクルマ』と同じだと思っています。走行距離が10万キロくらいまではオイル交換など軽微なメンテナンスをしていれば、燃費が悪化してようが乗心地が悪化していようが『とりあえずは走る』クルマが多いように思います。どんな状態であれとりあえず走るという感じで、メンテナンスに対してガサツというか無頓着というか、国産車は全体的にそんな印象を受けます。扱いが冷蔵庫や洗濯機と同じで普段はメンテナンスなんて全くしない、壊れる時は突然壊れるという感じもどこか家電的です。最近2003年式のスバル・プレオという軽自動車が我が家に来ましたが、走行距離は8万キロくらいでした。エンジンは一発でスタートするので一見何も問題ないように見えますが、
- エンジン音、マフラー音がとてもうるさい
- アイドリングがガタガタで今にもエンストしそう
- 信号待ちなどでエンジンからクジラの鳴き声のような音が聞こえる
- 全ての速度域でパワーダウンしている感じがする
- 燃費は街乗りでリッター10キロを下回り、高速でも10キロ程度
- 走行中に足回りからゴトゴト音が聞こえる
などが目に付きました。さらに私は目視でエンジン、足回りなどを少しチェックしてみました。すると
- 購入されてからまともにメンテナンスされた形跡がないことが分かる汚れ具合
- エンジン本体からオイルがダダ漏れ
- 各部にサビ、腐食が発生している
- エンジンルーム全体から鼻につく廃油の臭いがする
- 足回りのショックアブソーバーからオイルがダダ漏れ
- ドライブシャフトブーツのゴムが硬化していつ破けてもおかしくない
という状況で唖然としました。整備手帳を見ても基本的なエンジンオイルの交換など以外、まともなメンテナンスがなされた形跡はありませんでした。さらにバッテリー端子をはじめいろんなところにベタベタの黒いグリスのようなものが吹き付けられた形跡がありました。このようなメンテナンスは私のおじいちゃんのトラックで見たことがありました。その後汚いだけで意味無しのメンテナンス跡をパーツクリーナーで掃除する羽目になりました。我が家のスバル・プレオは乗用車なのに農業用トラックのような整備を入れられていたのです。このプレオを整備した工場は20年は遅れています。
クルマのコンディションから各部に故障の爆弾を抱えていることは明白です。このプレオの例が決して珍しいわけではなく「それでも走るから」という感覚で乗り続けているオーナーさんは多い、というのが実態ではないでしょうか。そのことが「国産車は故障が少ない」というイメージに直結しているのだと思いますが、実際は国産車であろうと故障はしていると思います。ですがBMWは働くクルマでも家電でもありません。BMWで同じことをやってしまったら、クルマがそれを許してくれないのです。
BMWのX3で要求される具体的なメンテナンスとは?
ディーラーで「BMWは故障が多いですか?」と質問すると「機械なので100%の保証とまではいきませんが、当店でメンテナンスしていただければ大丈夫です」ということを言われた人は多いと思います。私もアルファロメオやジープのセールス経験がありますが、「とりあえずそう言っておけばお客様は納得する」と教えられてきました。でもお客様側からすれば「そのちゃんとメンテナンスするという内容が分からない」のではないでしょうか?
それに大手質問サイトで同じことを質問しても似たような回答が多いのではないでしょうか?それどころか「故障を気にするなら国産車に乗りなさい」とか「外車は故障するのが当たり前」という説教をしてくる人も少なくありません。私はなぜそこまで輸入車に対して閉鎖的なのだろうと思ってしまいますが、実際はBMWのメンテナンスは国産車とあまり変わりありません。クルマは国産であろうとBMWであろうと、走行距離を重ねれば基本的に同じようなパーツが消耗します。なので原則としては似たような部品の交換が必要ということが言えます。
ですが国産車と違って、BMWをはじめとする欧州車では「パーツをまめに交換して新車の性能を長く維持したい」という設計思想が根強くあります。パーツをまめに交換するのでエンジンや足回りなど、クルマの生命線ともいえる箇所に余計な負荷をかけないのです。クルマの大切な部分に余計な負荷がかからないので、消耗品さえちゃんと交換していけば新車のフィーリングをいつまでも維持することができます。結果としてヨーロッパを走るクルマの寿命はぐんぐんのびて、走行距離が20万、30万が当たり前となっています。X3では走行距離が5万キロを目安に以下のパーツ交換が要求されます。
- ブレーキパッド+センサー(前後の摩耗具合を確認)
- フューエルフィルター
- イグニッションコイル+スパークプラグ
- ウォーターポンプ
- サーモスタット
- ブローバイホース
パーツの意味が分からなくてもいいですが、これらのパーツは車検の見積もりに入ることが多いです。なので覚えておいた方がベターです。欲を言えば冷却水のサブタンクも新品に入れ替えることをお勧めします。サブタンクは樹脂製の場合は5年~10年でクラックが入り、漏れます。そして上記のメンテナンスに加えてBMWの場合はATFという、オートマチックフルードの交換をしておいた方が良いです。BMWの場合はATFに加えてストレーナーというパーツとハーネススリーブも新品にした方がいいと思います。ついでにATを制御しているCPUのリセットもかけてもらうと完璧です。
ディーラーのいうこと全てが正しいとは限らない
ATF交換はディーラーでお願いすると「ATF交換は必要ない」という風に言われます。それはBMWジャパンがそう言っているから、ということなのですが実際はやった方がいいと思います。ATF交換をしないと100%故障する、とまでは言いませんが確実に新車時のフィーリングは失われ、変速ショックが増大して燃費が落ちます。ATF交換はディーラーで無理やりお願いしてやってもらうことは可能ですが、途方もない金額となりますのであてにしない方がいいです。最近ではBMWに特化した専門店が数多く出てきており、正直なところそのような専門店の方がディーラーより安く、腕も良くて任せられるショップは多いです。
特にBMWのディーラーは新車で買うようなお客様を優先して大切に扱いますので、中古でX3を購入する場合はBMW専門店とのコネを作れるかどうかも大切です。さらにX3では8万キロに差し掛かるころに以下のパーツも交換時期となります。
- カムシャフトセンサー
- クランクシャフトセンサー
- エアフロメーター
- フューエルポンプ
- O2センサー×4個
- アッパーマウント+ショックアブソーバ4輪
- アイドル制御バルブ
BMWはセンサー系の交換をサボるとエンジンチェックランプが点灯してパーツ交換を促すような仕組みとなっています。このように「走行距離ごとにしっかりパーツ交換しないとクルマが愚図る」という点が、国産車と大きく異なる点です。早くパーツ交換すれば元気になるのですが、これを「故障」と勘違いしてしまう人が多いです。でもBMWからすれば「センサー系はまめに新品にすべき消耗品です」という考えなのです。最後に走行距離10万キロほどで以下のパーツの交換が必要になります。
- ブレーキディスク4輪
- カムシャフトカバーガスケット
- スタビライザー等ブッシュ類一式交換
- 5万キロ毎の消耗品
BMWではこれらのメンテナンスサイクルを回すことによって新車の性能を維持しています。逆にこれを知らずにメンテナンスをサボってしまったクルマは「故障だ!!」と大騒ぎすることになる、ということです。これらのパーツは先ほども紹介したスバルのプレオでも使用されているものがほとんどです。8万キロごとに交換するパーツとして紹介したショックアブソーバーも同様です。プレオは8万キロ越えでオイルがダダ漏れとなってしまいましたが、BMWのX3でもちょうど同時期で交換なのです。
つまり、走行5万キロのX3の中古車を購入する場合は5万キロまでの消耗品を全てリフレッシュしなければ不具合が起こる、ということが予想できます。8万キロ程度であれば8万キロまでの消耗品一式をリフレッシュする必要がありますよね。そのような見方ができれば、中古のBMWのX3を検討する場合は車両価格に加えて必要なパーツ代や工賃を加味すればよい、ということが分かります。むしろそれで予算オーバーしそうなことが分かっていれば最初から手を出すべきでないということも分かります。新車でX3を購入する場合は5万キロ走行で必要なパーツを想定して、必要な予算を整理して計画的に入れ替えていく、ということを視野に入れることができますよね。
お伝えした走行距離より多少前後することはあっても、ご紹介したパーツの交換さえおさえておけば購入後に大きな故障が起こる確率は大幅に下がります。故障だと騒ぐ前にパーツを入れ替えているので、当然と言えば当然です。さらに交換した後は燃費が回復して驚くほど車の調子がよくなりますので、そんな愛車を見ているとこっちまでうれしくなってしまいます。そうやって世話をしてあげると次第に愛着もどんどん湧いてきます。お伝えしたメンテナンスサイクルを知っているかどうかはとても大切だとは思いませんか?さらに冒頭のリンクからは、BMWの故障リスクを抑えて少しでも安く維持していくための秘訣についてお伝えしていますので、ぜひ一度ご覧ください。