BMWのF10(5シリーズ)は故障する?保証付きは安心?
BMWのF10は故障する?保証付きは安心?というテーマでお伝えしていきます。BMWのF10を検討している人は以下の記事も参考になります。
BMWの車種別まとめ完全版
BMWはなぜ故障が多いと言われるのか?
BMWのメンテナンス費を少しでも抑えるための方法とは?
BMWらしさを最も味わえるのは5シリーズなのか?
BMWの車検の負担を減らす方法とは?
BMWは国産車と同じ感覚で乗れるのか?
BMWのF10は2009年~2016年まで販売されていました。2017年では「G30」に後継を明け渡しています。なので現在ではF10を購入するには中古車を検討することになります。
出典:Best Features Of The 2011 BMW 5 Series/bmwblog
ちなみにF10のエクステリアデザインはBMW本社デザイナーのヤチェック・フレーリッヒという人です。BMWでのデザイン考案は面白く、日本メーカーでは多数の意見を集約して一つのモデルを完成させていくことが普通とされています。しかしBMWをはじめとするドイツ御三家のメルセデスベンツ、アウディなどは一人の優れたデザイナーによって完成されることが多いのです。その一人を選ぶのに、F10では25人のえりすぐりのデザイナーが自分のスケッチを持ち寄ってコンペをするという手法をとったといいます。
そのうち一人のデザインが晴れて上層部から採用を受けるわけですが、コンペで負けた他の24人のデザイナーは口出し無用で立ち去るしかないという、厳しい世界になります。冷徹な判断、極度の緊張感から生み出されるBMWデザインは強さを引き出し、F10のデザインのカッコよさからもそれは感じ取れると思います。最近ではBMWというメーカーへの憧れ、デザインの良さやプレミアム性などから興味を持つ方が増えてきています。特にF10の前期型では価格も落ち着いてきており、いよいよ新車の国産普通車を購入するのとあまり大差ないくらいに迫ってきています。
故障に関しては、BMWもだいぶ乗りやすい時代になってきたなと思います。前期型ではラジエーターと呼ばれる、エアコン装置の故障が少しあるかな?ということくらいです。ここが故障するとエアコンの冷たい風が出なくなるというものです。これは経年劣化ではなく、設計の問題によるものでしょう。日本人からすれば「なんでそんな基本的な部分が故障するんだ」と突っ込みが飛んできそうですね。しかし冷静に、落ち着いて見てみてください。私個人の意見としては近年の国産車も結構やばいという風に思っています。一時期話題となった「エアバッグ問題」やトヨタの「ブレーキ効かない問題」だけではありません。
個人的には、三菱の度重なるリコール隠し問題からそもそも国産車の業界全体を信用しきれないでいます。それほどショッキングだったということもあります。日産の傘下とはいえ、あれだけバッシングを受けた三菱が今も何もなかったように自動車販売をしているということが信じられません。驚きかもしれませんが、私の知る限りではホンダの軽自動車では新車時から雨漏れが発生するという話を整備士の弟から聞いています。
その修理対応に残業続きで毎日忙しいと言っていました。それに新車納車からわずか1か月で足回りに赤サビが発生しているものがあるなど、ネットでは何かと話題になっています。他にも日産ではCVT故障問題で請求が50万円で泣き寝入りするユーザーが続出する、それに対するメーカーの対応の悪さなどなど、あげたらキリがありません。
それに比べてBMWのF10を見てみてもこれといってスキャンダルもなく、新車では保証も5年は付帯してきて乗ってみれば基本的な造りがしっかりした良いクルマ、それでいてカッコいいという風に見えるのです。それでは実際、変なウワサだけでBMWは故障が多いのか?という疑問にもなるわけです。
保障が切れたBMWは手を出すべきでないのか?
先ほどBMWの前期型F10ではエアコン装置のラジエーターという部品に不具合が出るという話に触れたと思いますが、前期型ではその点に注意を払えば快適に乗れる車だと思います。では具体的にどのような対策があるかというと、購入前に販売員の方に確認を取るようにします。例えば「このクルマはラジエーターの故障が多いと聞いたけど、前のオーナーは交換したんですか?」とか、「もしラジエーターさえ対策品の新品にしてもらえれば、安心して購入できるのですが」という交渉をしてみるなどがあります。そのように前向きな提案をしてみると意外とうまく商談が進むケースは多いです。もしくは最初から販売店保証が付いた車を狙っていくということも手です。
逆にF10ほど故障の少ないBMWに、何の保証もつけられない販売店があったとしたらそれはよほどBMWに関する知識に自信がないか、その個体のコンディションを良く思っていないか、という風に見えます。故障したら「修理費はお客さん持ちですから」という風に間接的に言われているようなものです。そういった個体があれば私なら避けるようにしますし、その販売店そのものもあまり信用できないです。これが10年落ちで走行10万キロ越えの中古車であれば話は別です。走行距離に関しては、保証のあるなしに関わらず3~5万キロ程度走行したものを購入する方がお勧めです。そのくらい距離を走ったF10は価格が控えめになるということも確かにメリットとしてありますが、一番大きなメリットとして初期不良を吐き出した個体でもあるという点があります。
初期不良に関しては国産・輸入車問わず今でもあり得ます。例えばエアコンが冷えないとか、ギアがおかしいとか、オイルが漏れているとかです。クルマは出荷時にどれだけチェックしても走行をしてみないと出現しない初期トラブルがあります。なのであえて距離を走った個体を選ぶという方法もお勧めになります。かといって低走行の中古BMWは地雷か?と言われれば私はそんなことはないと思います。故障して当たり前という時代のクルマではもはやなくなりましたし、それにせっかくBMWに乗るならボディや内装のコンディションはピカピカがいい、と思うのは当然です。
BMWのF10購入後のメンテナンスコストは?
お気に入りのBMWを無事購入できたらやがてはメンテナンスも考えないといけません。BMWの維持費は具体的にどのくらいかかるのか?ということを気にする人も多いはずです。大雑把に言うとBMWの5シリーズはEセグメントという、国産車でいうとクラウンクラスのクルマになるので維持費のベースではクラウンくらいは最低でもかかるというイメージです。ベースで見ても決して安くはない、が基本です。まずあなた自身が収入面でそのくらいの余裕があるか?というイメージを持っている必要があります。3シリーズであればDセグメントという、本国ではミドルクラスのグレードになります。国産車ではマークXやレガシーのような維持費のイメージになりますので「何とかなる」で維持していけそうですよね。
私は以前アルファロメオ正規ディーラーに勤務していたことがありました。そこではパーツ代も日本の代理店がまとめて海外から調達しているので、その時の相場によって大きく変わるということが少なくありませんでした。なので一概に「年間このくらいかかります」という額は言えないのですが、確かなことは輸入車は「日本の代理店を通してパーツを購入する(メンテナンスをお願いする)と異常に高くなる」ということです。その理由は、そもそも日本ではBMWを高級車として販売したい=富裕層がターゲットという狙いがあるからということと、正規のBMWパーツを日本の代理店が市場独占しているから=相場の感覚がマヒするからです。
本国ヨーロッパのパーツの金額の相場を見ると日本人なら愕然としてしまうかもしれませんが、あの関税が高いと言われるイギリスからパーツを輸入して、送料を足しても個人輸入の方がはるかに節約できます。私が実際に体験した例では、本国で100円のオイルフィルターがなぜか日本では2000円、みたいなことが多々あります。有名なイーベイなどで検索すれば明らかです。「外車は送料が乗っかるからパーツが高いんだよ」という話がありますが、パーツ代が2倍~10倍になるほど送料がかかるとは思えません。
私がこれまで維持してきたオペルやアルファロメオもそうですが、正規ディーラーにメンテナンスを丸投げしていくということは高額なメンテナンスコストをかけられる収入のある方でないと厳しいものがあります。なので私はメンテナンスコストを1円でも抑えるために、パーツ調達は楽天、アマゾン、個人輸入で見積もりを取り一番安く売ってくれるお店で購入しています。またパーツ取り付けはボッシュカーサービスという「パーツ持ち込み歓迎」の輸入車メンテナンスのプロ集団にお任せしています。2017年現在では正規ディーラーに依存しなくても、そういった抜け道があるので輸入車もだいぶ維持しやすくなってきたと思います。
BMWの具体的なメンテナンスや故障との関係
クルマは常にいろんなところがクルクル回転していますので、距離を走ればその分消耗するパーツが出てきます。その原理原則は国産車であろうが輸入車であろうが変わることはありません。なので消耗したパーツは定期的に新品に入れ替えてあげないといけません。国産車はメンテナンスフリーという風に思っている方もいますが、それは国産車が乗用車の皮をかぶった「働くクルマ」だからです。それに本当にメンテナンスフリーならば、車検ごとに見積もりが変わるのはおかしなことです。最近我が家に来た走行8万キロのスバル・プレオですが、現状で走行できるのが不思議なくらいアイドリングが不安定です。少し掃除をしながら手を入れてみましたが、ここまで調子が悪いと復活は厳しいかもしれません。
エンジン音もがさつでうるさく、オイル交換歴を見たらなんと3年前でした。それでも「オイル交換しなさい」という警告灯が点灯することはありませんでした。エンジンオイルは交換をサボるとエンジンを損傷します。なのに点灯しないのは何故なのでしょうか。それに補器ベルトのプーリーやテンショナーもさび付いてキュルキュル音が出ています。エンジンルームは漏れたオイルでジメジメしていて廃油の臭いが漂っています。足回りのショックアブソーバーからはオイルが駄々洩れしていて、もうその役目を果たしておらず段差を拾うとゴトゴトと衝撃が伝わってきます。このようにとりあえず走行できるけど酷い状態という車は少なくないと思います。先日ショッピングセンターで駐車場を走っていたマーチは一気筒死んでるような音がしていました。
こんな状態でも走っていられるのは、センサーの反応がそもそも鈍くなるように設定されている、ヒトで言うならば「痛みを感じさせる機能」を鈍らせているのだと思います。そしてこのようなメンテナンスされていない車が、新車時の燃費や性能を保っているとは思えません。ですが働く車に燃費や性能を求めるということはないですよね。A地点からB地点まで行ければよい。それが国産車の任務であって、その仕事を遂行するための働くクルマなのです。そのような点から、故障が少ないと感じる方も多いと思います。その代わり、クルマそのものの寿命を縮めているのかもしれませんね。反対にBMWは働くクルマでも電化製品でもないので、走行距離ごとにパーツのリフレッシュを厳しく求められます。具体的には、
- ブレーキパッド+センサー
- フューエルフィルター
- イグニッションコイル+スパークプラグ
- ウォーターポンプ
- サーモスタット
- ブローバイホース
- ATF+フィルター+AT制御CPUリセット
- イグニッションユニット
部品の名前など聞いたことのないものも多いと思いますが、上記のパーツは5シリーズであれば約4万キロ前後に交換が求められるパーツとなります。どんな部品か分からないという人も多いと思いますが「こんなパーツが走行距離に応じて消耗するのか」ということをまずは理解してください。国産車でも同様のパーツを交換した方が理想ですが、BMWの場合はメンテナンスをサボると車が警告をするようプログラムされています。オイル交換をさぼれば「そろそろオイル交換してください」とドライバーにメッセージを表示するようにできています。それらの警告を「故障だ!!」と思ってしまう人が多いので、BMWは故障が多いという風に言われてしまうのかもしれません。なぜそこまでBMWはパーツ交換を促すかというと、
- 新車時の燃費と性能を維持させたいから
- クルマそのものを長持ちさせたいから
という事に他なりません。現にヨーロッパを走る車のほとんどが走行20万キロ越えなど珍しくないといいます。どんな機械でもメンテナンスなしには調子を維持できないのと同じで、それはBMWでも一緒です。次に走行約7万キロ前後で以下のパーツの交換をお勧めします。
- カムシャフトセンサー
- クランクシャフトセンサー
- エアフロメーター
- フューエルポンプ
- O2センサー×4個
- アッパーマウント+ショックアブソーバ4輪
- アイドル制御バルブ
ここでも国産車では交換することが珍しいようなパーツ交換があります。ディーラーで交換をお願いすると高額なパーツもあるため、いかに安くパーツを入手していくか?という点も求められます。それにこれらのパーツを一気に交換するとコスト面で厳しいものがあるため、計画的にパーツ交換のスケジュールを組むことが求められます。逆にここまでパーツを新調すると新車時のあの頃の走りや性能、燃費が劇的に回復するのも欧州車の特徴です。さらに車検や点検以外で、日ごろからメンテナンスをしていくことによって車検時には何もいじる点がないという完璧なコンディションに仕上げていくことも可能です。以下のパーツは現状確認で、必要と判断されたら交換するようにしてください。
- ブレーキディスク4輪
- カムシャフトカバーガスケット
- スタビライザー等ブッシュ類一式交換
ここまでリフレッシュできれば、もはや故障の恐怖とは無縁のBMWライフを送れるといっても過言ではありません。他のBMWの記事やこの記事の冒頭のリンクなど、BMWの正しい購入術やメンテナンスコストを安く抑えるための方法など詳しくご紹介しています。興味がありましたら一度ご覧ください。